【講演会まとめ】「映画批評を巡る冒険(第一回)」(講師:佐野亨)
2015/11/26
(第三部)延長戦
代表的な映画批評家(蓮實重彦の時代まで)
(えー、とてもすべてを詳しく列挙できないので名前と自分で調べて気になった著作を挙げておきます( ・?・)? グッ !)ちなみに当日、佐野さんは高熱を出してました。凄い熱量・・・!
南部圭之助・・・『映画の宣伝戦』『映画が女と舞台を愛するとき』『男優の世界―欧米映画65年史』
岸松雄・・・『日本映画人伝』『映画評論家 岸松雄の仕事』(←最近出版)
内田 岐三雄・・・『欧米映画論 (1935年の本)』
飯島正・・・詩人。『前衛映画理論と前衛芸術―フランスを中心に』『映画のなかの文学 文学のなかの映画』
淀川長治・・・『淀川長治のシネマトーク(上)(下)』『100万人の映画教室(上)(下)』
双葉十三郎・・・「ぼくの採点表シリーズ」→『双葉十三郎 ぼくの採点表TheBest』
(1925年から1975年まで50年間刊行された『映画評論』という雑誌の重要性。特に第三期(1950~1975)にここから巣立っていった映画批評家は多い。森卓也、小林信彦、石上三登志など、なかでも水野 晴郎は『シベリア超特急』などで今の若い世代は舐めてる人が多いかもしれないけれど、非常に整然とした文章を書いた凄い人)
ここまでを起点に現在の映画批評について
佐野亨「ようやくここから現在に近い話が出来ます(笑)」
【映画批評の系譜と分類】←個人的分類だそうです。
「シネマ69」欠落から出発した世代、テクスト解析、映画史立脚型、資料集成、資料解読、採点主義、映画ファン、文学、妄想系、武闘派、ルポルタージュ、映画産業批評、映画教育批評という分類。
(上の分類表を元に、各論者がどのような位置にいるのかの把握していくことで絶対ではないが映画批評を考える上で見通しが良くなる。例えばライムスター宇多丸はラジオで語った「ヒッチコック」評から加藤幹郎のテクスト解析の系譜にあるなど。)
最後に
映画批評の語りという面では、
・町山智浩(WOWOW「映画塾」http://www.wowow.co.jp/movie/eigajuku/)
・ライムスター宇多丸(「ムービーウォッチメン」http://www.tbsradio.jp/utamaru/watchmen/)
・高橋ヨシキ(「高橋ヨシキのシネマストリップ」http://www.nhk.or.jp/suppin/movie.html)
など面白い面々が出てきている。
書き手の方では、批評家は作り手に匹敵するぐらいズケズケ物を言っていた過去の時代に比べプロとアマチュアの境目が分かりづらくなっている。なおかつ最近ではライターよりブログなどの書き手のほうが時間がある状況。書き手の問題は継続中。(最後は駆け足でした(笑))
・佐野亨ver「この映画批評を読め!」
芝山幹郎・・・『アメリカ映画風雲録』など→芸文の極み
武田秀夫・・・『シネマの魔』→映画に寄り添う語り手
草森紳一・・・『悪のりドンファン』など→映画を見る環境についての考察
(終わり)
?映画サイト「イントロ」での佐野さんの記事。特に「シネブック・ナウ」は今回の話に強い関連あり。
良質な書き手がいる面白い場所としては「indietokyo」「neoneo」「boid」「nobody」があるということは前回の雑誌POPEYEの記事で上げました(全部横文字だ!)
*由良君美、白石かずこ、山口昌男、三島由紀夫といった映画評の系譜もあまり調べている人がいないので、今後まとめてみたい。
そういえば講演会の名前はやはり村上春樹と川本三郎の対談本からとっているのかな。読みたいけどなかなか見当たらない。古書価格もなかなか!
【関連記事】
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