【講演会まとめ】「映画批評を巡る冒険(第一回)」(講師:佐野亨)
2015/11/26
(第二部)
③今もある映画雑誌3誌、その歴史と概要
?「キネマ旬報」「映画芸術」「映画秘宝」
それぞれに良し悪しがある。減点方式のワースト選定で批判もある「映画芸術」もスポンサーだらけの「キネマ旬報」では書けない記事を載せてくれるといったように。
中でも「映画秘宝」は30代中旬から20代後半の人にとって特に思い出深い。なぜ特定の世代の心に働きかけるのかというと90年代という時代背景がある。
どういうことか?
90年代はシネマコンプレックスの出現、ミニシアターブームなどがあった。このミニシアターブームは80年代的な作家の映画を見に行く欲望と違って「ニューシネマパラダイス」に代表されるように、もっと一般向けの物であった。
見ることの出来る映画本数が増える中で、観客はより趣味性を高める傾向に向かい「リバイバル上映」の流れが生まれた。リチャード・レスター「ナック」や市川崑「黒い十人の女」といった公開当時は当たらなかった映画に観客が押し寄せた。市川崑のモダニズム的側面がオシャレなものとして受容。二作品とも仕掛け人は同じピチカートファイブの小西康陽。若い人に見てもらいたいという情熱。(↓小西さんの映画メモ、2013年)
映画メモ・2013年|YASUHARU KONISHI -BLOG-|honeyee.com Web Magazine
そしてオシャレなものではなく、中学生が喜ぶものという異なる傾向だが過去に当たらなかった作品も今見ると楽しいよ、感覚を「映画秘宝」も共有していた。ただし、より「ツッコミ」という側面が強い形での再発掘。
(↓最近出た映画秘宝の20年を振り返る本。資料的価値が高く、熱い本)
(続けて「鬼畜ブーム」などを紹介し)ある意味90年代に始まるツッコミという流れは責任を負わないことでもあり、生産性がないことを楽しむ時代であったように思うという述懐。
「映画秘宝」の前身として「映画宝島」の存在、これは今見ても凄い。今では当たり前となった平山夢明とかみうらじゅんの存在も新しかったし、きちんと映画ジャーナリズムの人も参加していたことに町山智浩という人のバランスの良さがある。
(「朝までビデオ」シリーズや「映画宝庫」、佐野さんが影響を受けた江戸木純の著作『地獄のシネバトル』の紹介。文春文庫の『洋・邦名画ベスト150〈中・上級篇〉』などのカタログ本にも強い影響を受けたとのこと。アマゾンで現在めちゃ安い )
(↓次ページ:日本の映画批評家の系譜)
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