良作・奇作・怪作・傑作の映画祭「未体験ゾーンの映画たち 2015」がやっぱり凄い
2015/12/02
ヒューマントラストシネマ渋谷で毎回好評の映画祭「未体験ゾーンの映画たち」が2015年の1月3日から開催される。
2015年で4年目を迎えるこの映画祭は「有名な俳優がいない」、「宣伝が十分にできない」等の理由で劇場公開が見送られてしまう作品を
「未公開を阻止しろ!!」と
映画館のスクリーンで一気に上映するイベントである。
今回の上映作品は15か国49本。年々規模が大きくなる理由はその「闇鍋」感にある。海外映画サイトrotten tomatoesやIMDbでのコメントや言及なし、高評価というわけではないが熱狂的なファンの存在が垣間見える曲者ぞろいの映画の数々。
何が何なのかわからないまま、暗い映画館で観客一人一人がどんな味なのかと映画を咀嚼していかなければならない。
そして、その闇鍋には確かな傑作も紛れ込んでおり、2014年のラインナップでは自分が上半期ベスト10に入れた傑作『MUD』、ヴァーホーヴェン久々の新作『トリック』、怪作ながら面白い『アタック・オブ・ザ・50フィート・チアリーダー』などが話題をさらった。
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今回の出品作も『ドライブ』の監督:ニコラス・ウィディング・レフンの幻の作品「Fear X」やロビン・ウィリアムズ最後の主演作等、注目のものが多い。本来ならば映画館に突入して、腹を下す覚悟で雑食するのが良いのかもしれないが、少しメニュー表が欲しいということで
自分がお金を出して行くであろう「10本」を選んでみた。
Contents
- 1 「Fear X」
- 2 「マシンガン・ツアー」(原題:Redirected)
- 3 「アフリクテッド」(原題:Afflicted)
- 4 「ブルー・リベンジ」(原題:Blue Ruin)
- 5 「特捜部Q 檻の中の女」(原題:Kvinden i buret (The Keeper of Lost Causes)
- 6 「ハニートラップ 大統領になり損ねた男」(原題:Welcome To New York)
- 7 「ホラーシネマパラダイス」(原題:All About Evil)
- 8 「オール・チア・リーダーズ・ダイ」
- 9 「ランダム 存在の確率」(原題:Coherence)
- 10 「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」
- 11 (番外編)「ネクロマンティック」
「Fear X」
『ドライブ』で注目監督となったニコラス・ウィディング・レフンの幻の傑作。
彼の作品は「プッシャー」も、今年公開された「オンリー・ゴッド」も非常に癖が強いので「未体験ゾーンの映画たち」のラインナップにピッタリである。
「マシンガン・ツアー」(原題:Redirected)
チラシによると「酔っ払いアクション史上最高傑作!!」、「『ハング・オーバー』meetsガイリッチー!!ノリで強盗になってしまった4人組」。
海外サイトで調べてみると絶賛の声多数。IMDbでの評価も異様に高い、予告編見ている途中から「あ、これ絶対好きだわ」って感覚になる。海外ポスターもgood!!
「アフリクテッド」(原題:Afflicted)
ある女性と一夜を共にしたことで身体が変容してしまい超能力が使えるようになった男のお話。
それを旅の相棒が撮影していくというPOV型の映画みたい。すこーし映画「クロニクル」を思い出す。映像が面白いので気になった。
「ブルー・リベンジ」(原題:Blue Ruin)
最大注目作!2013年の『カンヌ国際映画祭』で国際批評家連盟賞を受賞したほか数々の映画賞で絶賛された一人の男が繰り広げる復讐の物語。
ガジェット通信の記事に書いてある町山智浩の発言「主人公が一言もしゃべらないまま復讐を果たす冒頭30分でグっと掴まれた。血で血を洗う抗争を知力を尽くして切り抜けていく、南部ノワールの拾い物だ。」
「特捜部Q 檻の中の女」(原題:Kvinden i buret (The Keeper of Lost Causes)
原作のファンが多く、ヒューマントラストシネマ渋谷でしか今のところ上映されないことに知り合いがガッカリしていた。
予告編で「殺人の追憶」「ゾディアック」に続く傑作サスペンス・スリラーって書いてあったので「大きく出たな!」と気になってる。
「ハニートラップ 大統領になり損ねた男」(原題:Welcome To New York)
特定のジャンルに括ることが不可能なアベル・フェラーラ監督作。
なんでここにさらっとラインナップされているのかわからないが、この邦題でいいんだろうか(笑)。ウィレム・デフォー主演で、詩人であり映画監督でもあるパゾリーニの最期の一日を描いた監督の最新作『Pasolini』も気になるところ(公開してくださいお願い)
「ホラーシネマパラダイス」(原題:All About Evil)
タイトルはどう考えてもあの有名な映画からだと思われる。
「ジョン・ウォーターズ絶賛のホラーコメディ!」ということで良い感じで嫌な予感しかしない。予告編を見た感じだと殺人のシーンを誤って映画館で流したらめっちゃ好評だった!的ストーリー、それにしても予告編が素晴らしい出来。
「オール・チア・リーダーズ・ダイ」
グダグダ言うよりも公式のあらすじだけ紹介させてもらいます。
「黒魔術で死の淵から蘇った超絶美人チアリーダー軍団と最低男たち(筆者注:アメフト部)の死闘を描く、スーパーナチュラル・バトル・アクション!?」
「ランダム 存在の確率」(原題:Coherence)
「ここ数年で最高のSFスリラー」、「完璧なパズル」、「哲学的な怖さ」、「脳が反転する」と、おいおいそんなハードル挙げて大丈夫かよ!と不安になってくる煽り文句だが海外サイトでの観客評価も高い。
予告編を見てもどんな話だかまったくわからないが「シュレディンガーの猫」という言葉とタイトルからもわかるとおり量子力学を題材にしているよう。現代のcoherence「首尾一貫性」も意味深。
「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」
注目作!!イ・スジン監督の長編デビュー作。
(番外編)「ネクロマンティック」
私は怖くて見れないと思いますが、この映画のリマスター版ということで話題。以下ウィキペディアより→ネクロマンティック(Nekromantik)は1987年に公開された、ドイツの映画監督ユルグ・ブットゲライトによるホラー映画、エログロ映画である。多くの国で上映禁止にされ、物議を醸しているこの作品は、テーマであるネクロフィリアと大胆な描写のためにカルト映画としても知られている。本国であるドイツでは、上映禁止はおろか、ネガとフィルム、素材全ての破棄を命ぜられた。
日本語版の字幕は柳下毅一郎。
「未体験ゾーンの映画たち2015」公式サイト:http://www.ttcg.jp/human_shibuya/topics/detail/34576
【開催場所】ヒューマントラストシネマ渋谷
【開催期間】2015年1月3日(土)より2月下旬予定
☆上映期間/回数は作品により異なります。☆全作品デジタル上映
【料金】 1,300円均一
毎週水曜日サービスデー、毎月1日映画の日:1,100円均一
☆リピーター割引、今年も実施! 本映画祭上映作品の有料半券提示で、次回より200円引き(その他の割引との併用不可)
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