映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』感想、まさにオールスター!開始五分で号泣
冒頭20世紀フォックスのロゴを前にシュローダーがピアノを弾くシーンからグッときて、
雪で休校になったために「ピーナッツ」のキャラクターたちが次々と外に飛び出すシーンで、あ、マズいと思い、
そこからチャーリー・ブラウンが登場して目が潤み
「Linus&Lucy」が流れるなかスヌーピーがペパーミント・パティやマーシーを引き連れてスケートをするシーンで涙が落ちた。
開始5分。
感想(ネタバレなし)
『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は最高だった。
スヌーピーの映画が日本のスクリーンで公開されるのは劇場版第三作「がんばれ!スヌーピー」以来約38年ぶり(四作目の「スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅」は劇場未公開)ということで、もっぱらキャラクター商品が主となっている日本においては『peanuts』の原作を知らない人も多いかもしれない。
しかし全く問題はない。
脚本家にして原作者シュルツの息子クレイグ・シュルツのインタビューを読めばわかるとおり、本作は『peanuts』の精神を今に蘇らせるためコミック50年分のエッセンスを凝縮して作り上げられた。過去に製作されたアニメはその世界観を当然知っているものとして作られているため、ギャグの挟み方や台詞回しは唐突な事も多い。それに対して今作の内容はとても消化しやすく、3Dの質感で作られたキャラクターは仕草含めてすんばらしい出来であり悶絶するほどの可愛さなのでスヌーピーに少しでも興味があるなら是非見てほしい。
「ルーシーの精神分析スタンド」「戦争と平和」「読書感想文」といった「peanuts」世界の定番ギャグを唐突に出すのではなく、すべてをエピソードにつなげてテンポ良く進んでいく物語のつくり方は本当に上手い。
特に感動したのは、犬小屋の上でスヌーピーが第一次世界大戦の英雄フライングエースとなってレッドバロンとの空中戦を繰り広げるところ。野暮なことを言ってしまえばこれはスヌーピーの妄想であり、原作でも「こいつはいったい何をやっているんだ?」とキャラクターから突っ込まれる定番のギャグだが、本作では敵役レッドバロンの飛行機はライナスが作ったものとされ、この妄想もスヌーピーがゴミ箱で拾ったタイプライターで書いた物語なので見る人は違和感なくスヌーピーの作り出したユーモア溢れる世界へと入っていける。
そして「赤毛の女の子」の登場について。
原作者の初恋の女の子をモチーフにしたこのキャラクターはピーナッツ50年の歴史において幾度も語られはするが一度も姿を現したことがない。
それが出てくる。初恋の象徴ともいうべき「赤毛の女の子」が顔を出すことのインパクトは、たとえるなら、もしも漫画『ドラえもん』において「しずかちゃん」というキャラクターが一度も顔を出すことはなかったとして、何十年かの時を経て映画になった際、ついに、のび太の前に登場!といえばわかりやすいと思う。
彼女に対してチャーリー・ブラウンがどういう行動をとるのか、その頑張りに最後もまた泣いてしまった。チャーリー・ブラウン役の鈴木福くんの情けない時には情けなく決めるときには決める演技が実にハマっている。70年代あたりに人気だったキャラクターを平等に出演させることを心がけつつ、妙にマーシーの出番(素顔込)が多いところに作り手の趣味が大きく反映されているような気がして個人的にも大満足の出来だった。
感想(ネタバレあり)
ついにラストでチャーリー・ブラウンが赤毛の女の子に話しかけることができたとき「赤毛の女の子」が返した言葉に涙が止まらなかった。
「いつもあなたを見ていたわ」と彼女は言う。
これはもちろん本作におけるチャーリー・ブラウンの失敗の数々、それが実は誰かを助ける誠実な行為だったことに対しての言葉である。テストで満点をとって表彰され、みんなからの尊敬を勝ち取ったものの、実はそれはペパーミント・パティの功績だと知った時には真実を言ってしまったり、妹サリーを助けるために学芸会で損な役回りを演じたり、チャーリー・ブラウンというのはそういう人物だ。
肝心なところでいつもミスってしまうが、けれどチャーリー・ブラウンは挑戦し続ける。
誠実さ、情けなさ、へこたれなさをひっくるめて彼は偉大である。それがわかる物語後半の盛り上がり具合は尋常ではない。
成功するはずのない凧上げに成功したチャーリー・ブラウン、驚きの声を上げる周囲を気にせず彼は走る。サマーキャンプへと出発する「赤毛の女の子」のもとへ。
そしてついに彼女に話しかけることが出来た、これは単なる物語のゴールではない。これは憧れの女の子の姿を捉えようともがき続けた男の子がようやく真正面から彼女の目を見て話すことが出来たという「ピーナッツ」にとっての偉大な達成なのである。
だから「いつもあなたを見ていたわ」の言葉には、挫けずに挑戦を続ける愛すべき存在「チャーリー・ブラウン」を「赤毛の女の子」もちゃんと見ていたのだという50年の歴史を感じさせる響きがあった。
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