映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』の前におさらい劇場版スヌーピー
2015/11/26
劇場版『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』がいよいよ2015年12月4日に全国公開されることが決まり、2016年3月には六本木に「スヌーピーミュージアム」も期間限定でオープン。
さらに現在角川文庫から各年代の『ピーナッツ』名作エピソードを集めた文庫バージョンも続々と出版されスヌーピー人気はますます高まっています。
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実はそのスヌーピー(正式には『ピーナッツ』)。アニメはたくさんありますが劇場版アニメーションとしては『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』含めて5作目のみ。
過去の劇場版は一体どんな映画だったのか?今回はそのあらすじと見どころを紹介し、魅力的な『ピーナッツ』の世界へ皆様をご招待します。
Contents
- 1 劇場第一作『スヌーピーとチャーリー』【1969年】(原題:A BOY NAMED CHARLIE BROWN)
- 2 劇場第二作『スヌーピーの大冒険』【1972年】(原題:Snoopy, Come Home)
- 3 劇場第三作『がんばれ!スヌーピー』【1977年】(原題:Race for Your Life, Charlie Brown)
- 4 劇場第四作『スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅』【1972年】(原題:Bon Voyage, Charlie Brown (and Don’t Come Back!!))
- 5 そして劇場五作目『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』
劇場第一作『スヌーピーとチャーリー』【1969年】(原題:A BOY NAMED CHARLIE BROWN)
あらすじ
いつもみんなに馬鹿にされてるチャーリー・ブラウンは、ついに一念発起。スペリング・ゲーム大会に出場し勝ち進めば、みんなから馬鹿にされる事もなくなるのではないか?
そう考えた彼はまず学校内のコンテストを目指す。ルーシーに馬鹿にされつつも、スヌーピーやライナスのスパルタ訓練、出題問題がinsecure「不安定」やstomachache「腹痛」などチャーリーの得意なものばかり。あれよあれよという間に勝ち進み、みんなの期待も大きくなっていきます。どうなる!?チャーリー・ブラウン!
みどころ
『ピーナッツ』おなじみのテーマがこれでもかと出てきます。ルーシーの精神分析スタンド。タコも飛ばせず、野球も勝てないチャーリー・ブラウン、お約束のボールを蹴飛ばす前にボールを取り上げられる悪戯など。
ただし大会に臨むチャーリー・ブラウンにライナスはブランケットを託したりと珍しい展開もあり、映像もかなり実験的。負けたら「帰ってくんな」と励ますルーシーのたくましさと哀愁ただようチャーリー・ブラウンの姿、そんな彼を励ますライナスのセリフは印象に残ります。
The world didn’t come to an end.「別に世界が終わったわけじゃないだろう」
マーシーやウッドストックはまだ出て来ませんが『ピーナッツ』の漫画にただよう哀愁と日常の素晴らしさを味わうのに最適の一本。
劇場第二作『スヌーピーの大冒険』【1972年】(原題:Snoopy, Come Home)
あらすじ
スヌーピーは不機嫌だった。図書館に行っても、バスに乗ってもやることなすこと全てに「犬はお断り」と言われてしまうのだ。さらに仲間たちからも適当に扱われ、いじけてしまうスヌーピー。納税者の一員として断固抗議を決意したとき、一通の手紙が届く。そしてスヌーピーはチャーリー・ブラウンのもとから去っていく。
手紙の差出人はライラという少女だった、彼女はスヌーピーの前の飼い主であり現在病院に入院中。会いに来てほしいという言葉に旅立ったスヌーピーだったが、チャーリーに何も告げなかったため彼は自分に何か原因があるのではないかと思い悩む。ノイローゼに陥るチャーリー・ブラウンをよそに、スヌーピーとウッドストックの旅は波乱万丈。はたして無事ライラに会うことが出来るのか。そしてチャーリー・ブラウンは大丈夫なのか!?
みどころ
ライラはスヌーピーのもとの飼い主。スヌーピーをとても大切にしていましたが、引っ越し先はペット禁止だったために泣く泣く元の農園にスヌーピーを返したのです。このエピソードは『スヌーピー誕生』で語られています。
どんどん落ち込んでいくチャーリー・ブラウンの姿とは対照的に、ウッドストックとスヌーピーのコンビ旅は見ているとニコニコしてしまう楽しさに満ち溢れています。
ノイローゼ気味のチャーリー・ブラウンにライナスが言うセリフがまたもや印象的です。
Hapiness lies in our destiny, like a cloudless sky, before tomorrow’s storms destroy the dreams of yesterday and last week.
「幸せと言うものはだね、あした嵐がきてそれを打ち砕くまで空に浮かんでいる雲のようなものさ」
チャーリー・ブラウンと別れるわけではなく、少しだけ離れるつもりだったスヌーピーでしたが事態は思わぬ方向へ。「お前が好きなの。戻ってきてほしい」と懇願されてしまいます。実にせつない感覚が物語を覆いますが、ラストはとても爽やか。タイプライターでバシバシと文字を打ち込まれていくスタッフロールも実におしゃれな一本。
劇場第三作『がんばれ!スヌーピー』【1977年】(原題:Race for Your Life, Charlie Brown)
スヌーピーとチャーリー・ブラウン「がんばれ!スヌーピー」【劇場版】【二ヵ国語版】 [VHS]
あらすじ
チャーリー・ブラウンはスヌーピーや仲間たちとともにサマーキャンプに行かされることになりました。彼はキャンプの共同作文でリーダーになりたい豊富を語ります。しかしキャンプでは年長者がいばっていて、いじわるばかりしてきます。
例年キャンプでは「腕くらべコンテスト」が行われ、その目玉は「川下りレース」。キャンプの年長者+いじわる猫に勝とうと、チャーリー・ブラウン率いる男の子グループ、ペパーミント・パティをリーダーとする女の子グループ、そしてマイぺースなスヌーピー+ウッドストックの戦いが始まります。果たして勝つのは一体誰だ?
みどころ
現時点で未DVD化(!!)
この川下りレースが凄まじい。暴風雨が起きたり、ダムが決壊したりと一歩間違えれば死の危険もあるなかで野宿込みの3日間のレース。大人も真っ青。
別々に行動していたグループが、みんな山小屋に集まってダンスをするのですがこのシーンめちゃくちゃ良いです。『MOTHER』というゲームで終盤に主人公とヒロインのアナが、山小屋で踊るエモーショナルなシーンを思い出しました。
ペパーミント・パティの面倒くささとチャーリー・ブラウンの報われなさは全劇場版のなかで際立っており、流石にやり過ぎではと少し思いましたが、嵐で離ればなれになったスヌーピーとウッドストックの再会する場面は、全劇場版でトップクラスの涙量を記録しました。
劇場第四作『スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅』【1972年】(原題:Bon Voyage, Charlie Brown (and Don’t Come Back!!))
スヌーピーとチャーリー・ブラウン「ヨーロッパの旅」【劇場版】【日本語吹替版】 [VHS]
あらすじ
交換留学生としてフランスに旅立つこととなったチャーリー・ブラウンは、ある日フランス語で書かれた謎のメールを受け取ります。マーシーによるとその内容は、「親愛なるチャーリー・ブラウン様、あなたにお会い出来る事を楽しみにしています。シャルロット」というもの。いったい手紙の主は誰なのか?同じく交換留学生に選ばれたマーシー、ペパーミント・パティ、ライナスとともにチャーリーとスヌーピーはフランスの地を目指すのでした。
みどころ
未DVD化のうえ、日本において唯一の劇場未公開作品!
(地元の図書館で運よく見ることが出来ました)
空港のシーンからわくわくが止まりません。珍しく大人が出てくる飛行機のシーンはとても貴重です。あとはウッドストックとスヌーピーがファーストクラスの機内でイヤホンをシェアするシーンなんぞ可愛すぎて鼻血が出るかと思いました。
「なんであいつだけファーストクラスなんだ!?」とチャーリーブラウンが当然の疑問を口にし、ライナスが答えます。「有名なスヌーピーだから、かな」
フランスの地についてからの雰囲気もたまりません。レンタカーを借りて(!)みんなでゆるゆると田舎町をドライブします。フランスパンをみんなでシェアしたり、マーシーとスヌーピーがぶつけてきた車に喧嘩をふっかけたりしながら、なんとかホームステイ先へ。
異国の町でマーシーたちには宿が用意されていましたが、チャーリー・ブラウンたちは何故か呼ばれた屋敷の外で野宿。手紙の主は姿を見せてくれません。
ストーリー的には超展開でツッコミありまくり。けれど異国の街で遊びまくるスヌーピー、チャーリーが感じる夜の不安とおしゃれな音楽、マーシーとペパーミント・パティの恋模様と名場面多数。自分は四作の劇場版の中で一番好きな作品です。
そして劇場五作目『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』
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2015年12月4日に全国公開予定で、監督は「ホートン不思議な世界のダレダーレ」のスティーブ・マーティノ。歌あり、踊りありと劇場版の面白さが伝わってくる予告編では、スヌーピーがお馴染みのフライング・エースとなってエッフェル塔へ迫る場面もありました。
しかも、今作では『ピーナッツ』50年の歴史の中で一度もキャラクターとして描かれなかった幻の女の子「赤毛の女の子」が登場。
作者の愛した女性をモデルにして誕生したキャラクター。初恋の代名詞ともいうべき、彼女が劇場版でどんな活躍を見せるのか、今からとても楽しみです。
『スヌーピーの50年』という本は様々な定番ギャグのある『ピーナッツ』の世界観を読み解くためにピッタリな一冊。映画のお供にぜひ。
朝日新聞社
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