『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を見る前におさらいマッドマックス!!
2015/11/27
2015年6月20日の土曜日、いよいよ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開される。この夏に上映される続編大作映画の先陣を切る今作は、各試写会でも話題騒然であり、アメリカに続き日本でも「マッドブーム」が起きてほしいと心から願う。
いや、この言いたいことも言えないこんな世の中では何が何でもブームになる必要がある!
というわけで、これを機会にシリーズ過去作のおさらいをしようというのが今回の記事。最新作は過去作との直接的な繋がりは明示されていないものの、主人公の名前が「マックス」であること、後の作品に大きな影響を与えた世界観は共通しているからきっと役に立つと思う。
Contents
忍び寄る不穏さが怖い「マッドマックス」
(監督:ジョージ・ミラー。製作年:1979年。上映時間:94分)
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(あらすじ)
暴走族による犯罪が多発している近未来。仲間からの信頼も厚い凄腕の警察官であるマックス・ロカタンスキー(メル・ギブソン)はある日、警官を殺しパトカーで逃走を続ける凶悪犯ナイトライダーを追跡、ナイトライダーは追ってきたマックスの姿に恐怖し運転を誤り事故で死ぬ。そして、それ以来彼の仲間であるトゥーカッター率いる暴走族が復讐のため街に現れるようになり、同僚のグースが彼らに殺されるという事件が起きる。
これをキッカケに以前から夫の仕事に不安を覚えていた妻ジェシーを気遣い、マックスは警官を辞める決意をするも上司からはひとまずの休暇を言い渡される。しかし運悪く、その休暇の途中でトゥーカッターらと遭遇、マックスの妻子は彼らに殺されてしまう。復讐に燃える彼は傷を負いながらもトゥーカッターの一味を全員殺し、一人ロードへと走り去っていく。行く手にはどんよりとした曇り空が広がっていた・・・。
(解説)
みんながイメージする「マッド・マックス」の世界観はまだ希薄で、荒廃した近未来という設定ながら裁判や汚職などまだ文明の名残りがある。それによって逆説的に休暇中の家族に悪党の魔の手が・・・という物語の展開は見る側にとっては現実に近い地続きの不安感を引き起こす。また、凄腕の警官ながら人間らしい弱さや感情を持っていたマックスが妻子を殺されたことで、徐々に狂気の表情を見せていくという演技をメル・ギブソンは果敢に演じている(本作は彼の出世作でもある)
(私的名場面)
やはり「マッド・マックス」名物のクラッシュシーンが見所。DVDの解説では走行距離18万キロメートル、つぶした車14台、ガソリン57000リッター、スタントマンは8人のうち3人が重傷を負い2人が死亡したとサラリと書かれていた。が、様々な情報を調べていくと、どうも実際は死亡していないようなのだ。それでも実際にスタントマンが死んだように見える危険なシーンは今見ても「ひえっ」と変な声が出る。個人的な名場面を挙げるならマックスの妻であるジェシーが暴走族によって車でひかれるところ、道の真ん中で慟哭の叫びをあげるマックスの姿が胸を打たれた。
イカれた奴らのヒャッハー祭り「マッドマックス2」
(監督:ジョージ・ミラー。製作年:1981年。上映時間:91分)
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(あらすじ)
近未来に勃発した世界大戦によって前作にかろうじて存在した文明は崩壊し、石油や食料を巡って犯罪者同士の争いが日夜繰り広げられていた。暴走族に妻子を殺されて以来、主人公マックスは一匹の犬と愛車である「インターセプター」と共に荒野をあてもなく彷徨っていた。
ある時、旅の途中で襲ってきたジャイロ・キャプテンという風変わりな男を返り討ちにし、マックスは彼から石油基地の存在を聞き出す。彼を人質にその場所へと赴くと「ヒューマンガス」率いる暴走族が石油基地を取り囲み、中の人々を外に出さないようにしていた。
ガソリンと引き換えに、マックスは途中で見つけたタンクローリーをここまで運んでくることを基地のリーダーに提案、苦難の末に無事成功する。約束は果たしたと慰留を断り一人脱出するマックスであったが、暴走族との過酷なカーチェイスの末に愛犬と愛車を失い彼自身も重傷を負ってしまう。
ジャイロ・キャプテンによって救われたマックスは、パラダイスを目指し奮闘する基地の人々を逃がす決意を固める。戦いの火ぶたは切られた、暴走族との壮絶なカーチェイス、倒れていく人々、すべてが終わった後、マックスが運転したタンクローリーから漏れてきたのは石油ではなく砂であった。敵を騙すにはまず味方からか、とつぶやきマックスは楽園に向かう人々を一人荒野で見送る。
(解説)
イカれたキャラクターに、ナイスな衣装、そしてモヒカン・・。みんながイメージする「マッド・マックス」と言えばこの作品。CGもない時代の、その無骨な美しさが画面の隅々からつたわってきて最初から最後まで目が離せない。極限まで研ぎ澄まされたシンプルな物語、毎日が生と死の狭間にある世界で子供も女性も老人も全員が戦士!マックスと彼に憧れる子供との言葉ではなく表情での語り合いがツボ。高橋ヨシキ曰く、マックスの台詞は「16行しかない」。まだ見てない人はここからでも大丈夫なので最新作の前に是非とも。
(私的名場面)
オーディオコメンタリーでわかるように監督のジョージ・ミラーが命がけで撮影した前作以上の13分に及ぶカーチェイスのシーンおよびそれに伴う爆発は美しいの一言、観るたびに心が躍る。あとは殺伐とした物語の中でマイケルの愛犬がとにかく可愛らしい(この犬は翌日に安楽死させられるはずだった)個人的には暴走族の一人が基地の少年の投げたブーメランを取り損ねて指がぽろぽろ切れちゃうシーンが最高、「えへへ・・・」とみんなが笑うから笑っちゃうあたりの小物感がほんと素晴らしい演出。暴走族の一人ウェズ(赤く染めたモヒカン男)がときどき野球選手の田中将大に見えてくる。
一体何がどうなったの?「マッドマックス サンダードーム」
(監督:ジョージ・ミラー。製作年:1985年。上映時間:107分)
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(あらすじ)
荒野をさすらうマックスが飛行機を操縦する謎の親子連れに馬車を盗まれるという始まり。「バーバータウン」に流れ着いたマックスは情報提供と引き換えに用心棒を名乗り出る。彼が街の女王から依頼されたのは、地下世界の主マスター&ブラスターの暗殺であった。
この町の電力は地下で飼育される豚の糞を原料としたメタンガスによってまかなわれており、そこでは知識担当のマスターと腕力担当のブラスターが幅を利かせ今では女王ですら無視できない権力を持っている。マックスは彼らと「サンダードーム」という金網で作られたドーム状の闘技場で決着をつけることに、ブラスターの腕力に終始圧倒されるも弱点であった笛の音を使い逆転、あと一歩というところでブラスターの仮面がはがれて彼の正体が少年であったとわかり仕留めそこなう。
サンダードームの掟により、拘束具を付けられ砂漠へと追放されるマックス。途中で力尽きた彼を助けたのは一人の少女であった。彼女はマックスを子供たちだけが生活を営む集落へと案内し、そこでは何故か皆が彼の事を「トゥモローランドへ連れて行ってくれる」存在キャプテン・ウォーカーと勘違いしていた。子供たちの迷信を否定すると集団の一員は砂漠へと逃避してしまい、マックスは彼らを助けるため再びバーバータウンへと舞い戻る。成り行きで地下の主マスターを救出し町から脱出。マスターを連れ戻そうとする女王の追手を振り切り、彼は自身を囮にして子供たちを逃がす。凄い男だよ、と女王はマックスを誉め街へと去って行く。
(解説)
あらすじを書くのが難しい。展開に整合性が取れず、わかってたことではあるものの何というか全体的に迫力がない。確かに2でも子供との触れ合いはあったがあくまで同じ戦士としての協力であったから、子供たちとマックスの共同戦線の描き方があまりにゆるく、「なんかこれじゃない」感強し。名物であるカーチェイスもどこかコミカルに描かれていてファンの評判が悪いのも頷ける。ただし、文明が終った後の次に生きる世代の話として、子供達が独自に文化を形作り物語の伝承を続ける描写はディストピア作品としてとても良い。
(私的名場面)
タイトルに反して一回しか登場しないサンダードームでの金網マッチファイト、屈強な男であるブラスターが実は仮面を取ると無垢な表情を見せるという場面は、直前に観客と共に「殺せーーー」となってたから「ぎょっ」と一時停止してしまった、商人の売っている水にガイガーカウンターを近づけると反応するあたりの描写も今見ると「ぎょっ」とする。今作で素晴らしいのが街の女王アウンティ役のティナ・ターナー、冷酷だったり情に厚かったり、マックスに対する複雑な感情を見事に演じている。
そして・・・最新作『マッドマックス 怒りのデスロード』
それにしても今回全ての作品を見直して改めて感じたのは『マッド・マックス』というシリーズが今なお発し続ける、鑑賞者の本能へと働きかける溢れんばかりのパワーであった。最新作もその予感に満ちている。
なまぬるいスペクタクルを廃し、腑抜けた心に喝を入れる本物の鋼鉄の魂を持った作品であることは予告編からも存分に伝わってくる。フィクションでしか描けない過激さ、それにともなう美しさをどこまで見せてくれるのか!?誇張ではなく2015年の公開予定のなかで一番楽しみにしていた映画である。
マッド祭りはもう間近!!
*ちなみに最新作で悪役イモータン・ジョーを演じるヒュー・キース・バーンは『マッド・マックス』で悪役トゥーカッターを演じた役者でもある。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』監督ジョージ・ミラーは3Dでの鑑賞を推奨!カット割りが細かいアクション映画では3Dが苦になりやすいが、映像が自然に繋がる=クリーミーになるよう1日20時間かけて取り組んだという http://t.co/HSgHqPSGZY #HIHOnews
— 映画秘宝 (@eigahiho) 2015, 5月 15
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