世界の終わりとハードボイルド・ムーミントロール、劇場版アニメーション「ムーミン谷の彗星」感想
2015/12/02
これはムーミンたちが、まだムーミン谷へ引っ越してきてすぐのお話。
2015年に公開された劇場版がカオスすぎたので(その詳細はこちらから)1992年に公開された『楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星』でその「かわいさ」を存分に味わうために借りてきた。
ミイとスニフはいるけれど、まだスナフキンやフローレンと出会う前の話ということで楽しみ。パッケージには描かれているからみんなが集う「はじまりの物語」なんだろうね!(わくわく)
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哲学者ジャコウネズミ
「この雨は普通じゃない!!おかしな空気を感じる!!」
工工エエェェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェエエエ工工
いきなり上がり込んできた鼠が家で騒ぐ、衝撃の始まりである。
ムーミンたちが建てた家の下に住んでいるこの哲学鼠、大雨で風邪を引いたとあがりこんで急に恐ろしい話をするもんだから流石にムーミンママ「夜は怖いお話をするのはやめたほうが」と冷静に突っ込む。
しかし一夜明けた彼らの目に飛び込んできたのは太陽が隠れ花が萎れ、何もかもが暗くなってしまった世界だった。
・・・というわけで、ハレー彗星がこの星に衝突すると断言した哲学鼠のせいですっかり意気消沈したムーミンたちは「本当に世界が終るのかどうか」を確かめるために天文台の科学者のもとへ向かうのであった・・・。
「面白い現象だねえ」と呑気なムーミンパパとムーミンママ、哲学鼠はお留守番。スニフの愚痴に付き合いながらムーミンたちが歩いていると道中にテントを発見する。
中から出てきたのは
やったースナフキンだーーーー!
「他の星は軌道をまわっているけど彗星と言うやつはひとりっぼっちの星なんだ。どこにでもあらわれる」
スナフキンだー----!
で、スナフキンを仲間に加え一行は遠い天文台を目指す。途中宝石拾いに失敗して危険な目にあったりフローレンの足輪を拾ったりとなんやかんやありつつ目的地にようやく到着し、せわしなく動く科学者たちに彗星のことを尋ねる。
「どんどん彗星は大きくなっているんだ!」と嬉しそうに語る科学者.
「三日後に衝突する!!間違いない!!」
驚いたムーミン、「僕たちはどうすれば」と質問。
そしたら科学者の無慈悲な一言
「知らん」
「私たちが興味あるのは、観測をすることだけだ」
さあ大変、どんどん大きくなる彗星を横目にムーミンたちは急いでパパたちの元に帰ることに、途中食虫植物に捕まったフローレンを助ける。罵詈雑言を用いながらナイフを持ったムーミンが植物を惨殺していくさまはこの映画の見所のひとつ。
フローレンとイチャコラしながら、ようやくムーミン谷に戻ってきたムーミン、そこは逃げ惑う人々で溢れていた。パパとママと鼠とヘムレンさんを拾って洞窟へ避難。
~ここで世界の破滅を前にした彼らの言葉を紹介~
科学者「やったやった彗星が来たぞ!」
ヘムレンさん「彗星が私の切手となにか関係があるのかね?」
哲学者ジャコウネズミ「わたしは真実を考えている。哲学者は死なんか恐れない」
ミイ「ただでさえ狭いんだから!真実やら哲学やらは隅っこでも出来るでしょ。ヒヒ」
ムーミンママ「お風呂が壊れないかしら」
ムーミンパパ「また直せばいいさ」
かなりの被害をもたらしながらも彗星は通り過ぎた。
遠い陸の向こうから海の水が戻ってくる。
ムーミンたちは喜びに走り回り、みんなで笑いながら洞窟から出て海に飛び込む。
物語はみんな助かることで終わる。
(映画を見終えての感想)
このラストに全員が海辺で遊ぶシーンは何回もリピートしてしまうぐらい異常に泣ける。
「なんで最後がこんなに泣けるのか」と真剣に考えてひとつ思いついたことがあった。
たぶん、それは物質主義批判と科学者への懐疑というテーマの背景に、彗星を災害もしくは戦争の比喩と描く強いイメージを自分が読み取ったからだ。「災害」を前に逃げ惑う人々、洞窟へ避難する人々、それでもこの世界の終わりにある向こう側の日常を語るムーミンパパとムーミンママの台詞は素晴らしかった。
いつも通り自分の妄想も入っているが、原作が1946年に描かれていること、何となく無関係ではなさそうである。パパとママみんなが波にたゆたい、ゆらゆらと揺れているシーンに流れるエンディング曲、なんとまあ・・・圧倒的なカタルシスである。思い出すだけで涙が出てきた。最高である、このアニメ。
*このエピソードは人気らしく、パペットアニメーションもあるがこれは相当に絵柄が暗くて怖い(なおかつスナフキンがダークサイドに堕ちる)ということでムーミンアニメーションの入門としてこちらのほうをお勧めしたい。
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