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スペクターとは何ぞや?映画『007 スペクター』を見る前のシリーズおさらい

      2015/12/04

・第六作『女王陛下の007』(1969)

女王陛下の007(デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
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ジョージ・レーゼンビーがボンドを演じた唯一の作品、そして悲しき結末

 

【あらすじ】

ブロフェルドを捕える任務を遂行中、ボンドはテレサと呼ばれる女性がポルトガルの海辺で自殺をしようとしているのを止める。彼女は有名な犯罪組織のボスであるドラコの一人娘だった。

ドラコは彼女の勝手気ままな生活を案じてボンドにテレサと結婚してくれるように頼みこむ。ボンドはブロフェルドの情報を教えてもらうことを目論みテレサへ接触するも、次第に勝気で魅力的な彼女に惹かれていく。

ブロフェルドはアルプスの頂上にある研究所にいるという情報を受けて紋章士として潜入するボンド、そこには世界中から美女が集められアレルギーの治療が行われていた。

しかしボンドは研究所の真の目的が催眠治療にあり、彼女たちが本国に戻った際、無意識のうちに細菌をばらまくように暗示をかけられていたことを知る。命からがら研究所を脱出し雪山を下るものの、追手は執拗に付きまとう。危機が迫るボンドの前に現れたのは偶然そこを訪れていたテレサだった……。

 

【見所とスペクターの行動】

ブロフェロドは別人としてニヤニヤ笑いをしながら再登場、顔が出たことにより怖さがなくなり威圧感は消えてしまいました。スペクターの計画もひどく回りくどいうえにしょぼくなっているのがわかると思います。

ただ雪山の頂上に建てられた研究所のロケーションは不思議な雰囲気で素晴らしい。

この場所でブロフェルドがいるかもしれないのに、ジョージ・レーゼンビー演じるボンドは色んな女性とベッドを共にします。真相を知って閉じ込められた際は急いで脱出し雪山をスキーで下ります。で、なぜかプロフェルドも部下を連れてスキーで追ってきます(笑)途中で敵が除雪車に巻き込まれて赤い血混じりの雪が噴出するシーンは本作の見所の一つ。

公開当時はアクションシーンが何をやっているかわかりづらいと酷評されましたが、ボンドと結婚したテレサがラストでスペクターに殺される悲劇性やロケーションの面白さなど本作をベストに挙げるファンも多いです。

 

・第七作『007 ダイヤモンドは永遠に』(1971)

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マンネリズム極まる作風&トホホなスペクターの最後

 

【あらすじ】

ついにスペクターのアジトで宿敵ブロフェルドの暗殺に成功したボンドは英国諜報部からダイヤ密輸事件の担当を命じられる。南アフリカで産出されたダイヤがどこかに横流しをされ、しかもその行方が誰にもわからない。もしそれが突然世に出ればダイヤモンドの価格は急落するだろうということでボンドは輸入業者に成りすましダイヤの行方を追うことに、

しかしその影にちらつく犯罪組織の影、そして殺したはずのブロフェルドがボンドの前に現れる……。

 

【見所とスペクターの行動】

前回が悲劇的なラストだったにも関わらずまたおちゃらけたショーン・コネリーのボンドが復帰します。

しかも恐ろしいほどのゆるさ、マネーペニーもMもショーン・コネリーも明らかに演じることに疲れています。というか、作品全体が緩みまくってて、気を抜くとなぜ次がこの場面なのか全く説明がないのでボンドが何をしているのかわからず話の筋を見失います。

敵も勝手に自滅。ダイヤモンドは実はレーザーの屈折に利用するために集めていてスペクターが絡んでいたと言われても「はあ、そうですか」となるのは、既にこの犯罪組織のダサさが頂点に達していて、あれだけ怖かった「スペクター」ってなんだったの?と徒労感に襲われているからです。

なおかつブロフェルドがボンドから逃げるために女装する展開に至っては本気で頭を抱えてしまいました。これにてショーン・コネリー版007はラスト、さらにブロフェルド&スペクターも引退という、なんとも悲しき幕切れ。

ただしブロフェルドが死んだという直接的な描写はありません。ボンドがクレーンを操ってブロフェルドが入っていたカプセルを壁に激突させただけです。だから、もしかしたら再び……?

 

・番外編1『007 ユア・アイズ・オンリー』(1981)

ユア・アイズ・オンリー (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
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ロジャー・ムーアがジェームズ・ボンドを演じる『ユア・アイズ・オンリー』においてブロフェルドらしき人物が登場します。

『女王陛下の007』で亡くなった女性テレサの墓参りをボンドがしている冒頭。その場所からボンドはヘリコプターに乗り込むのですが突如機体が暴走を始めます。画面は切り替わり、電動車椅子に座ってペルシャ猫を抱いたスキンヘッドの男が高笑い、どうやら遠隔操作でヘリコプターを墜落させようとしているようです。

しかしボンドは機転を利かせヘリコプターを手動操作に切り替え一転攻勢、逆に車椅子の男を機体の先へと引っかけてしまいます。途端に「金はいくらでも出す。降ろさせてくれ!」と命乞いをする男。ボンドはそれに答え、男を上空から降ろしてあげます。「みすたああ、ぼんどぉぉぉーーーー」と叫びながらスキンヘッドの男は煙突の中へ落下していきました。

どう考えてもこの人物はブロフェルドですがこの冒頭のシーンは続く本筋にまったくこれっぽっちも関係ありません!いわゆるファンサービスのひとつだと考えても良さそう、けれどあまりに扱いが悲しすぎてファンとしては全然楽しくない……!

 

・番外編2『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)

ネバーセイ・ネバーアゲイン [Blu-ray]
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スペクターの権利を持つマクローリーが作りあげた007、本家ではないためテーマ曲やお馴染みの道具は登場しませんが「サンダーボール作戦」を元にしているのでスペクターも登場し、なおかつショーン・コネリーをジェームズボンド役に復帰させました。ということでTSUTAYAなどでは007のコーナーに一緒に置かれていることが多い作品です。

今作のブロフェルドは禿げておらずほとんど印象に残りません。疑似核弾頭を本物にすりかえ各国を脅迫する「アラーの涙」というプロジェクトを指揮するラルゴも同じ、彼らを押しのける悪役が登場するからです。その名はファティマ、スペクターの女殺し屋なのですが、パワー不足の本作において常にハイテンション、殺すときも死ぬ時も常に場を盛り上げてくれて強烈な印象を残します。

もう一つの面白さは007の「復帰」ということでジェームズボンドが厳しいダイエットをしたり、毒素を抜くためにパセリ茶を飲んだり、尿検査をさせられたりすること。タンポポのサラダを食べるボンドが看護婦さんを誘惑してもただのエロ親父みたいな感じになって哀愁漂ってます。

 

終わりに

はい、スペクターを巡るまとめでした。

「ドクターノオ」で謎の組織として登場し「ロシアより愛をこめて」で東西の諜報機関を手玉に取った犯罪組織は、徐々にその権威を失墜させ、あれだけ威圧感を放っていた首領ブロフェルドですら最後には女装をするまでになり、そのままシリーズを退場しました。

後のシリーズで出る時も権利の問題で謎のスキンヘッドの男として名前は出ませんでした。

s_007ブロフェルド

命乞いをするスキンヘッドの男(『ユア・アイズ・オンリー』より)

 

まさしく幽霊にように007のシリーズから消えてしまったスペクターですが、首領のブロフェルドが明確に死んだという描写はありません。もしかしたら最新作ではその辺を描いてくれるのかとワクワクしています。

というのも伏線はあったからです。ダニエル・クレイグ版の『007』二作目『慰めの報酬』においてクォンタムと呼ばれる組織が登場するのですが、この組織の構成員が誰かもわからず影のように事件を操るといった特色がスペクターに近く、「慰めの報酬」の原題は「Quantum of Solace」、ブルガリア語ではquantumをspectreと翻訳してつまり「Spectre of solace」として公開されたそうです。

『カジノロワイヤル』『慰めの報酬』に登場したミスターホワイトが登場することからも、スペクターはクォンタムと何らかのかかわりがあるとみて間違いなさそう。また『スぺクター』のポスターでダニエル・クレイグが着ている白い服は『ゴールドフィンガー』でショーン・コネリーが着ていたスーツ、『スカイフォール』に続き過去作のオマージュもやはりありそうです。

 

*先行上映で「スペクター」を見てきました。過去作のオマージュがこれでもかとあるので『女王陛下の007』か『007は二度死ぬ』、そしてダニエル・クレイグ版だと『カジノロワイヤル』を見ておくと、より楽しめると思います。

 

過去作のもっと詳しい話を聞きたい方&全部見ている暇はない方は最近宝島から出版された「007 ジェームズ・ボンド全仕事」というムック本がカラー写真多数で見所などを面白く紹介していて素晴らしかったです。

 

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