『007 スペクター』に向けてダニエル・クレイグ版「007シリーズ」のあらすじをおさらい
『007』の新作タイトルは『スペクター』なので、以前このサイトでは過去作の中でスペクターの出てくる映画をまとめました。
スペクターとは何ぞや?映画『007 スペクター』を見る前のシリーズおさらい
今回はダニエル・クレイグ版の『007』の復習をしていきます。『スペクター』の予告編を見るとはっきり前作『スカイフォール』の続きであると明示されていて、しかもこいつ↓が出ることから『カジノロワイヤル』と『慰めの報酬』を思い出しておいた方が良いのでは?と思ったからです。
彼の名はミスターホワイト、『カジノロワイヤル』のラストに出てきて、『慰めの報酬』で逃げ出したまま行方が分からなくなっていた男です。
『カジノロワイヤル』と『慰めの報酬』では事件の裏に「クォンタム」と呼ばれる謎の組織が存在し、ミスターホワイトはその組織の構成員であることが判明しています。
構成員の中にはボンドが所属するMI6のメンバーもいて、その誰が敵なのか味方なのか区別のつかない組織の雰囲気がスペクターと類似しており、おそらく新作はダニエル・クレイグ版の007全体を繋げてくるはず。
*過去作のネタバレをたくさんしてますので注意。あらすじ(特に『カジノロワイヤル』の記述)が予想以上に長くなってしまったため最新作に繋がりそうな要素を太字にしました。
カジノ・ロワイヤル
ダニエル・クレイグ演じる容赦なきジェームズボンドの登場
あらすじ&みどころ
MI6組織内部の裏切り者を殺したことで殺しの番号「00」を授与されたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)
「007」としての最初の任務はテロ組織の資金源を探り当てることだった。ボンドはマダガスカルで組織に関係していると思われる男を追跡し、男の携帯から組織のものと思われる発信源を特定しバハマへ向かう。そこでテロ組織がマイアミ国際空港で飛行機を爆破する計画を立てていると掴んだボンドは見事にそれを阻止する。
Mからの報告で事件の背後には「死の商人」ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)と呼ばれる男がいたことが明らかとなる。彼は世界中から注目されている飛行機を爆破することで株のカラ売りを目論んでいたが、ボンドに邪魔されたことで大金を失い、さらにそれが原因で金を預かっていた武装グループから命を狙われることに。
ボンドはル・シッフルが金を補填するため、モンテネグロにあるカジノで大金を賭けて「ポーカーゲーム」に参加するという情報をキャッチ、ル・シッフルと戦うためイギリスの国家予算を資金源として自身がゲームに参加する要望を英国諜報部に提出する。負ければその金はテロ組織のものとなることを危惧しながらも、他に手がないMI6は金融活動部のヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)を同行させる。
連絡役のルネ・マティス(ジャンカルロ・ジャンニーニ)と合流しポーカーゲームは開始される。序盤は優勢だったボンド、しかし休憩時間にル・シッフルを追ってきた武装組織と鉢合わせたために傷を負ってしまう。さらに相手が焦った時に出す癖を見抜いたつもりでいたが、それはブラフだった。勝負に負けたことでショックを受けたボンドは自暴自棄になるものの、同じくゲームに参加していたCIAのフェリックス・ライターの残金を受け取り復帰、毒を盛られて絶体絶命のピンチのなか、ついにル・シッフルを撃破する。
だがル・シッフルはヴェスパーを拉致して逃走、ボンドは必死に追跡するも車は事故を起こし捕えられる。
金の口座番号を吐かせるため壮絶な拷問が行われひたすら耐え抜くボンド。突如としてル・シッフルは部屋に入ってきた謎の男に殺され、直後にボンドは意識を失う。ボンドはかすれゆく景色の中でヴェスパーが自分の名を呼ぶ声を聞く。
怪我から回復した彼は捕えられた時の発言からルネ・マティスをスパイと断定、MI6に捕縛させ、カジノで勝利したお金をヴェスパーに送金させる。
ともに休暇を楽しむ二人だったがMから緊急の電話が入る。内容は金はまだ送金されていないというものだった。全てを察知したボンドは銀行に行くと行って消えたヴェスパーを探すが、一足遅くボンドは彼女を助けることに失敗する。
Mが受けた報告によればヴェスパーは確かにスパイだった。けれどボンドが捕えられた際にはお金と引き換えに命を助けてくれるようル・シッフルを撃った男ミスターホワイトに頼み込んでいたことが明らかになる。
いまボンドの手の中にはヴェスパーの残した電話番号があった。
番号にかけると出たのはミスターホワイト、その直後ボンドは彼の右足を撃ちぬく。
動転するミスターホワイトに君は何者だと問われ、答える。「ボンド。ジェームズ・ボンド」と。
・上司であるMが「また殺したの!」と何度も激昂するほど、ダニエル・クレイグ版ジェームズボンドは容赦なく人を殺します。
冒頭から内部の人間を躊躇なく殺害、テロ組織を発見するために武器商人の妻ソランジュと接触したときには彼女と一夜を共にすることもなく、情報を漏らしたことで彼女が組織に殺されても「自分の身分は明かしませんでしたから大丈夫です」と上司に報告し動揺すらしません。そんな男が心の底からヴェスパーを愛し、それゆえに裏切られた心の傷は深く、次作『慰めの報酬』へと繋がっていくのです。
慰めの報酬
007 / 慰めの報酬 (2枚組特別編) 〔初回生産限定〕 [DVD]
犯罪組織クォンタムの登場、ジェームズ・ボンドのけじめ
あらすじ&みどころ
話は『カジノ・ロワイヤル』のすぐ直後。ヴェスパーを失い過激な行動が加速していくジェームズ・ボンドは、ミスター・ホワイトの背後に存在している組織の行方を探っていた。イタリアにおいてミスターホワイトをMに引き渡したものの、直後にMI6の仲間がボンドを銃撃。ミスター・ホワイトは逃亡し、手助けした裏切り者もボンドは殺してしまう。
情報を吐かせる前に殺したことをMに叱責されるが、男の持っていた紙幣から独りの男が浮かび上がる。男の名はドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)表向きは慈善事業団体の代表だが、裏ではどんな独裁政権とも取引をする男で、石油資源などの利権目当てで政権のトップすら殺す冷酷さを持ち合わせていた。
オーストリアのオペラ劇場で組織のメンバーが集まるというので潜入したボンドは、彼らの手が各国の政府要人にまで及び組織が「クォンタム」という名称で呼ばれていることを突き止める、その際、襲撃してきた男を殺したためにボンドは英国からも狙われることになった。その男はイギリス首相の護衛官だったからだ。
ボンドは現在グリーンが取引しているメドラーノ将軍を憎むカミーユ(オルガ・キュリレンコ)、前回の任務で誤認逮捕してしまったルネ・マティスにも協力を仰ぐ。しかしマティスが仲間だと思っていたボリビアの警察署長はとっくにグリーンの手で買収されていて、マティスは殺害され、その容疑でボンドに逮捕命令まで出てしまう。
八方ふさがりの中、ボンドはCIAのフェリックス・ライターからメドラーノ将軍とグリーンが取引する現場の情報を教えられる。乗り込んだホテルでの戦闘中にガス管が爆発、炎上する建物の中でカミーユはメドラーノ将軍を撃って家族の復讐を果たし、ボンドはグリーンを倒した後、広大な砂漠に放置する(後日Mから銃で後頭部を撃たれた死体が発見されたと聞かされる)
任務が終わった後にボンドはヴェスパーがスパイになる原因を作った男のもとへ赴く。それはちょうどヴェスパーにプレゼントしたのと同じネックレスを男が別の女性に渡している最中のことだった。銃を構えるボンド。だが撃ち殺さずMI6に男の調査を委ね、彼は雪の中にペンダントを捨て、去っていくのだった……
・単体の作品としては移動ばかり多くて、どうにも冗長でわかりづらい。しかし『カジノロワイヤル』から続けてみると、ヴェスパーの一件で、行動に歯止めが効かなくなったボンドが最後にはヴェスパーへの思いを断ち切って任務へと戻っていくけじめの作品として非常に興味深いです。
・あとはヨーロッパの季節が冬だからか、コート姿のボンドはめちゃくちゃ格好良い。逃亡したミスターホワイト&どこに構成員が紛れているのかわからない不気味な組織クォンタムは次作『スカイフォール』には出て来ないので最新作の『スペクター』で語られることになると思います。
スカイフォール
ジェームズ・ボンドの墜落、そして復活を告げる詩
あらすじ&みどころ
『スカイフォール』については以前このサイトで書きましたので簡単に。
本作で描かれるのは、ボロボロになったジェームズ・ボンドとその復活の話です。
イヴと呼ばれる女性エージェントが間違えてボンドを撃ってしまう冒頭から始まるMI6への徹底的な攻撃。それらはすべて同じ人物によって行われていました。男の名は「ラウル・シルヴァ」かつてはMの部下でもあり、「00」のライセンスも持っていた彼は任務の最中に敵から過酷な拷問を受け、その際Mが救助に向かわなかった憎しみから今回の一連の事件を引き起こします。
執拗にMを狙うシルヴァ。が、復活したボンドは自身の生家があった「スカイフォール」でシルヴァを待ち受け攻勢に打って出ます。ヘリコプターで現れたシルヴァとその部下たちと激しい銃撃戦を繰り広げ、生家を爆発させシルヴァ以外のほとんどの部下を壊滅させます。
しかし戦闘によってMは負傷、彼女は逃げた先の教会でシルヴァと対面します。Mの傷を見て泣き叫ぶシルヴァ、その背後にボンドはナイフを突き刺しシルヴァは死に、Mもまたボンドの腕の中で息絶えます。
・ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの出自が描かれる『スカイフォール』は過去作への徹底したオマージュが特色です。
秘密兵器を収納したボンド・カー「アストンマーチン」、その登場の際に流れる007のテーマソング、ベン・ウィショー演じるQ、冒頭でイヴと呼ばれる女性は最後にマネーペニーとなり、Mは代替わりして伝統的な『007』の情景が描かれます。
Motherを巡っての二人の死闘(私闘)が『スペクター』につながる直接的な要素かはわかりませんが、ボンドが早くに家族を亡くしたこと、ボンドがその後どのように暮らしていたかがまだ不明なので、そこが最新作で語られるのだと思います。
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