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『テッド2』の前に久しぶりに『テッド』を見てみた感想

      2015/11/26

一人の少年がある夜、星にテディベアを話せるようにしてくださいと願い、見事それが叶えられ二人は親友となる。

しかしそのかわいい親友は

27年後、完全におっさんテディベアとなり主人公とともにだらだらと遊んでいた。

主人公が成長できず親友とだらだらし続ける物語はテディベアであることを除けば、この作品は完全に近年のアメリカ産コメディの流れ。でも大ヒットしたのは間違いなくこの熊を発明したことだろうな、

と何回見ても謎の悔しさを感じつつ可愛いと思ってしまう。

ted おれのBIGモフモフぬいぐるみ
ted おれのBIGモフモフぬいぐるみ

このつぶらな目でエグイ行動をしてくるギャップで画面が維持できるというのがテッドの強さなんだよなと改めて思う。

アメリカのコメディは、矢継ぎ早に放たれるギャグが日本人にはわからないことも多く、見ていて飽きちゃうことがある。けれど、この映画においてはジニード・オコナーやトゥナイト・ショーとか用語が連発されつつも、画面にこの熊がいるおかげで話が持つ。

この辺の感覚は馬鹿話をする友人同士のマニアックな会話を、「よくわからないけど、またふざけたこと言ってる」と微笑ましく見ることが出来る第三者の目に近い。

で、それがずっと続くともういやだ、となってミラ・クニス演じる有能な女性が主人公に愛想を尽かす展開はとてもリアルで、

全く笑えない。

「チアーズ」のDVD-BOX特典を見ていたら出演者が悪口言い合っているインタビューが面白いから来いよとテッドの誘いを受けてしまって、仕事を抜け出してしまう主人公の幼さ、角川映画について友人と話し合っているうちに翌日遅刻してしまった身としては、覚えがあり過ぎてつらい。

あとは「ガチャピンよりすごいだろ」、「お前よりくまもんのほうが良い」、DV映画俳優ジョン・クロフォードのことを「星一徹」と呼び変えるなど、ところどころにギャグを日本風に訳し最低限の笑いを提供してくれるサービス精神もこの映画を広く届けようという工夫が素晴らしい。

忘れてはいけないのはマーク・ウォルバーグの演技。監督自身が演じるテッドは撮影現場にほとんどいないにもかかわらず、テッドと主人公がお互い殴り合うシーンのコミカルさと音の激しさは本当にテッドがその場にいる感じがしてくる。憎らしかったテッドが最後動かなくなってしまったとき、あれだけ雷を怖がっていたマーク・ウォルバーグが感情を押し殺し、動じない演技には初見時、劇場で見て涙した。

テッド雷

でも実はテッドは生きてて、女神のような恋人と主人公が結婚してハッピーエンドという「甘々」の展開に、実は主人公まったく成長していないのではないかという疑念を抱いたのも事実だ。もしかしたら、そこら辺のモヤモヤが「テッド2」では描かれるのかもしれない。

というのも、1にも出てくるバイト先の恋人タミ・リン(ジェシカ・バース)とテッドが結婚し子供を欲しがるこの続編、予告編を見た限りでは主人公と結婚したミラ・クニスがまったく出てこない。しかも新登場のアマンダ・セイフライドがヒロインみたいな扱い。これは嫌な予感がする・・・!

 

↓『テッド2』の感想書いたよ。

喋るテディベアに市民権を!!映画『テッド2』感想

*2015年8月28日にフジテレビ番組「金曜プレミアム」で21時から「テッド」放映予定とのこと(この日は「テッド2」の公開日でもある)。親子で楽しめるPG-12版ということで、テッドの悪口をどこまで放送するのかが楽しみ。

「テッド」の物語部分が面白かった人は『スーパーバット童貞ウォーズ』という傑作コメディも気に入ると思うので是非、見てみて!(このサイトで紹介するの何度目だろうw)

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 - おさらいシリーズ, 映画評

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