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スペクターとは何ぞや?映画『007 スペクター』を見る前のシリーズおさらい

      2015/12/04

007シリーズとしては24作目、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる映画としては4作目、そのタイトルが『spectre(スペクター)』と告知されたときには震えました。「ついに来たか!」と。

前作の「スカイフォール」が「ゴールドフィンガー」を見ておけば楽しめたように、今回も過去作の知識を知っておくと良いんじゃないかなと思い、ボンドの宿敵スペクターとはどんな存在か、どんな悪事を働いたかといった話を登場する映画とともにまとめてみました。

s_スペクター銃弾映画

そもそもスペクターとは?

(SPECTRE, SPecial Executive for Counter-intelligence, Terrorism, Revenge and Extortion、「対敵情報、テロ、復讐、強要のための特別機関」)スペシャル・エグゼキューティヴ・フォー・カウンター・インテリジェンス・テロリズム・リベンジ・アンド・イクストーション(対敵情報、テロ、復讐、強要のために特別機関)の略

(ウィキペディアより)

簡単に言うと「スペクター」はショーン・コネリーが007を務めていたシリーズで幾度にわたって激闘を繰り広げた犯罪組織のこと。

東西冷戦下でありながら取引相手を「西側」や「東側」と区別せず公平に接し、犯罪をビジネスとして捉えるのがスペクターです。spectreには「幽霊」という意味もある通り、幹部たちはお互いを番号で呼び合い、そして構成員がタコのシンボルマークを模した指輪をつけていること以外はすべてが謎に包まれています。

s_スペクター

失敗をした者には容赦のない罰が下されるといった厳しい掟を持つスペクターの首領はエルンスト・スタヴロ・ブロフェルド、最初は顔のわからない謎の人物として声と体の一部分だけが登場しました。

カーテンの向こうで猫ちゃんを抱き、淡々と指示だけをする不気味なイメージは多くの映画で流用されました。しかしボンドは徐々にスペクターを追い詰め、ついにシリーズ第五作「007は二度死ぬ」でブロフェルドの顔が明らかになります。

髪型はスキンヘッド、顔の右側に大きな傷跡があり、威圧的なギョロ目を持つその姿は衝撃的でしたが、さらに驚いたのは彼が次のシリーズに現れた際はまったくの別人として登場したことです(ブロフェルドは常に整形を繰り返し、影武者がたくさんいるという原作設定による)

【「007は二度死ぬ」に登場したブロフェルド】

007 James Bond ( ジェームスボンド ) Blofeld  ( ブロフェルド ) ポストカード ( Postcard ) 10.5cm×14.8cm

なぜ「スペクター」が出ると凄いのか。

権利関係が非常に複雑だったからです。以下はウィキペディアから引用。

『007 サンダーボール作戦』製作に当たって、「スペクター」という組織の名称とそれに関係する登場人物の権利をめぐり、原作者のイアン・フレミングとプロデューサーのケヴィン・マクローリーの間で訴訟が起きた。それ以来、スペクターの使用権は007における紛争の種となっていた。

この辺めちゃくちゃややこしいので詳細は省きますが、スペクターのアイデアと名称を考えたのは原作者と共にプロデューサーであるマクローリーも携わっていたということで裁判を起こし、結果007の映画を作っていたイーオン・プロダクションは敗訴、以降スペクターを映画に登場にさせることが出来なくなりました。

最初は恐るべき犯罪組織として登場し、だんだんとしょぼくなり、首領ブロフェルドも死んだのか死んでないのかよくわからないままシリーズ七作目『007 ダイヤモンドは永遠に』を最後にスペクターという存在は消えました。

しかしようやく権利問題が解消され、今回の007シリーズに帰ってくることとなったのです。

スペクターが出てくる007シリーズのまとめ

ということでスペクターの出てくる話を映画版に絞って、簡単なあらすじとその暗躍をまとめてみました。

 

【スペクター登場作品】

第一作目の『ドクター・ノオ』から第七作目『ダイヤモンドは永遠に』まで(第三作目『ゴールドフィンガー』をのぞく)

番外編としてロジャー・ムーア版『ユア・アイズ・オンリー』、そしてスペクターの権利を持っていたプロデューサーが別の製作会社で作った『ネバーセイネバーアゲイン』があります。

 

・第一作『ドクター・ノオ』(1962)

ドクター・ノオ(デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
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記念すべき『007』シリーズ第一作。ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドの初登場

 

【あらすじ】

英国の諜報部員ストラングウェイズと彼の秘書メアリーがジャマイカで謎の失踪を遂げたのを受け、後任として「007」ジェームズボンドが本国から送り込まれた。

ボンドは調査をするうち、アメリカの基地から発射されるロケットを妨害していた電波をストラングウェイズらが調べていたことがわかり、「クラブ・キー」という謎の島を存在を知る。そこは「ドクター・ノオ」と呼ばれる謎の人物が治める土地であった……。

 

【見所とスペクターの行動】

ジェームズボンドがドクターノオに対面した際、彼が「スペクター」という組織の存在の一員であると知ります。ドクターノオは自身の頭脳を有効活用しない西も東も愚か者ばかりで、スペクターこそ偉大な頭脳が集まって「世界制服」を成し遂げる組織だと言います。アメリカに対する妨害電波もスペクターの目的のひとつでした。

作品の見どころとしては、杜撰すぎる放射能の描写が今見ると凄いです。「クラブ・キー」はドクターノオの実験で島全体が汚染されていて、ボンドは本国からガイガーカウンターを取り寄せることでそれを突き止めるのですが、特に何の対策もせず高速艇で島へ突っ込みます。

当然、敵と追いかけっこをするうちに汚染されてしまうのですが、敵の研究所に着いてからシャワーで洗い流して解決。マジかよ。

 

・第二作『007 ロシアより愛をこめて』(1963)

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スペクターの鮮やかな作戦が光る、007シリーズ屈指の名作。

 

【あらすじ】

ある日イギリスの諜報部に一つの情報が流れ込む。ソ連の暗号解読機「レクター」を引き換えにタチアナと呼ばれる女性が亡命を願い出たというのだ。きな臭い匂いを感じつつも英国諜報機関はボンドをイスタンブールに派遣、タチアナと接触させる。

英国の予想通り実際に彼女はスパイであった。しかし彼女は知らなかった、その任務を命じたソ連の幹部クレッブがスペクターに属していることを……。スペクターはドクターノオを殺したボンドへの復讐、さらには米ソ諜報機関をお互いに戦わせることで外交関係を悪化させることを目論んでいたのであった。

 

【見所とスペクターの行動】

執拗でヒステリックなスペクターのおばちゃん幹部クレッブ大佐、そしてボンドを殺すべくスペクターの養成所で育てられたグラント、そしてスペクターの首領ブロフェルドがいよいよ登場します。といっても手と声だけ、けれど歴戦の強者と思われるクレッブがうろたえるなど、その威圧感は相当のものでペルシャ猫を撫でる描写が余計に怖い。

あくまでボンドは事件にソ連が関係していると思い、タチアナは祖国の命令だと信じて疑わず、ソ連の諜報機関は一連の事件を英国の仕業だと錯覚し東西に軋轢を生じさせるスペクターの見事な戦略を堪能できます。

イスタンブールの街並みやボンドが真相に気づくオリエント急行の乗車シーンなど撮影も見事で、タチアナ役のダニエラ・ビアンキの美しさも光るシリーズ屈指の名作。

 

・第四作『007 サンダーボール作戦』(1965)

サンダーボール作戦(デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
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海中での死闘、恐怖の人食い鮫、危うしボンド!

 

【あらすじ】

核爆弾を搭載したNATOの飛行機が消息を絶った。慌てる各国政府、直後スペクターは一億ポンドに相当する額のダイヤモンドを要求、そして自分たちの要求が通らない場合は各国に原爆を落とすとまで宣言する。彼らの計画を阻止するためボンドは飛行機が消息を絶ったと思われるバハマへと飛び立つ。

原爆はまだスペクターに手に渡っておらず、原爆の収容されていた飛行機は近海の珊瑚礁に沈んでいることを知るボンド、しかしその場所は人食い鮫が生息しており、またラルゴと呼ばれるスペクターの幹部が放った刺客もボンドを狙っていた……。

 

【見所とスペクターの行動】

前作『ゴールドフィンガー』はスペクターの陰謀ではなかったため一作飛ばしで第四作目。

本作でもブロフェルドはまだ顔を見せませんが初めてスペクターの幹部が勢ぞろいし世界各国における彼らの暗躍を報告する会議が登場します、虚偽の報告をしたものには凄惨な罰が下るスペクターの容赦なさは見所のひとつ。

あとは水中での戦闘シーンも見ごたえあり、しかし全体としてはストーリーが散漫で行き当たりばったり何が起こってるのか展開を把握するのが非常に難しいです。

バハマの祭りでボンドが容赦なく敵の女性を殺して「参った。彼女死ぬほど飲んでね」と捨て置く展開が妙に印象に残ってます。

 

・第五作『007は二度死ぬ』(1967)

007は二度死ぬ(デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
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日本を舞台に繰り広げられる忍者軍団VSスペクターの壮絶な争い、そしてついに顔を見せる首領!

 

【あらすじ】

ソ連の宇宙船が発射直後に姿を消し、それと前後して発射されたアメリカの宇宙船も軌道上から姿を消した。米ソ両陣営は互いに相手の仕業だと牽制し世界情勢は一触即発状態に。

イギリスはその妨害をしている場所が日本にあることを知ってボンドを秘密裏に派遣する。ボンドは公安のエージェント「タイガー田中」と協力し、事件の背後にまたしてもスペクターが存在していることを突き止める。「タイガー田中」のもとで忍者修行をしたボンドは、忍者軍団とともにスペクターのアジトを叩くのであった。

 

【見所とスペクターの行動】

冒頭スペクターの目をごまかすため偽装暗殺されたボンドの運び込まれた先は日本、そこでボンドは相撲を観戦したり、公安専用の丸ノ内線に乗車したり、スペクターに関係している企業に潜入したりとトンデモ描写が冴える日本を舞台にやりたい放題。

ショーン・コネリーがスペクターのアジトがあると思われる島へ上陸するため日本人へ化けるなど、どう考えても無理あるだろな展開に加え、ラストで描かれるスペクターVS忍者軍団(公安の精鋭)の戦いを見て、ギョロリとして威圧的な目が印象的なブロフェルドの顔がついに登場したにも関わらず、なんとなくスペクターという組織の雲行きが怪しくなるのをひしひしと感じました……。

最後は火口のアジトをボンドが爆発することで壊滅的な被害をブロフェルドらに与えます。

↓次ページは『女王陛下の007』から、いよいよスペクターの最後の時が……。

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 - おさらいシリーズ

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