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バイキンマンの圧倒的格好良さに涙する映画「それいけ!アンパンマン よみがえれ バナナ島」

      2015/11/27

体調不良の日々なので難しい映画を鑑賞できず、Huluでアンパンマンの映画を見続ける幼児退行の日々。

本日観た映画は、

2012年に公開された劇場24作目『それいけ!アンパンマン よみがえれ バナナ島』

「南の島に浮かぶバナナ島の復活」という物語に東日本大震災からの復興というテーマが反映されていて、次作「それいけ!アンパンマン とばせ! 希望のハンカチ」、次々作「それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い」込みで『復興三部作』と称されている

「元気」というキーワードが至る所で顔を出し、その使い方が上手で現在の自分がジリ貧状態なので素直に心に染み入り感動した。

バナナのたくさん実っていた島が原因不明の凶作に見舞われる。そこにアンパンマンたちが助けに来たとき、島の女王バンナはアンパンマンご一行を「よそ者」扱いして、自分一人でなんとかしようと思いバイキンマンたちと手を組むというシナリオの流れが完璧。バンナとバイキンマン、わがままな性格同士の意気投合ぶりが素敵である。

そこから女王がだんだんと事の深刻さに気付いていくという展開は見ている側にとってかなりブルーだ。

島の特産物であったバナナが一本もとれないという絶望感の描き方、腐ったバナナがボトリと落ちるとき、いままで当たり前にあったものがなくなることの辛さを思い出す。

バナナは象徴であり見る人みんながそこに何かを代入できるだろう。自分の場合は「健康」を代入し、打ちひしがれる女王の姿に心底感情移入してしまった。

そこにいつも通りの様子でアンパンマンがくる。

奴は「誰かが困っていたら自分に何かできないかと考える」という当たり前のことを言う。

正直ふて腐れてるときにアンパンマンの優しさは辛い。バンナの「よそ者に何がわかる」とは、まさしくその通り。「何も知らないくせに」、然り。それに対するアンパンマンの返しがまた、やさぐれ心に痛い、この島のことは知らないけど「バナナ島のバナナはみんなを笑顔にすることは知ってるよ」という言葉は正論だけに突き刺さる。

だから、アンパンマンがアンパンをわけあたえてもバンナはそれを拒絶して逃げ出すという「アンパンマン」映画史上前代未聞の展開に説得力が出るのだ。

この映画の名シーンは、そのあとに続くそんな彼女を勇気づけたバイキンマンの台詞。バナナを一本も見つけることが出来ず打ちひしがれた様子のバンナにバイキンマンは言う。

「元気出せ!お前はな、元気ってことが取り柄なんだ。また新しく育てればいいじゃないか。俺なんか何回メカを作っても何回もアンパンマンに壊されるんだぞ!」と。

それを聞いて、バンナはようやく「本当にバイキンマンは弱いんだな」と笑えるようになる。

いやあ、けっこう効きました、励まされました。バイキンマンやっぱええですわ。

そしてアンパンマンの正論も後で効いてくる。氷鬼という凶作の元凶に、アンパンマンたちが負けそうになったとき、バンナは先ほど拒絶したアンパンを食べ「誰かが困っていたら自分に何かできないかと考える」という言葉を思い出す。元気になった彼女が部下を率いて「私は元気だ!」と叫びバナナで特攻する姿が格好良い。

バイキンマンとアンパンマン、どちらの論理が欠けていてもおそらくバンナは元気になることが出来なかった。上映時間45分のうちに傷ついたアンパンマンの世界は一瞬で治る、現実世界の病は一瞬では治らない。しかし、ひねくれた言葉と、そのときわからなかったうざったい正論の両方を取り込んで、一つずつ人や物事は「元気」になることが出来る、やなせたかしの作品を観るたびに感じるのは、そういった世界の善的な側面への肯定と信頼である。

 

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