たとえホラー映画が苦手なあなたでも「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズは見なければいけない理由
2015/11/27
早速だけれど自分は怖いものが好きで苦手だ。
だからみんなで集まったときにしか見ない。
そしてみんなが帰った後の数分後には早くも見たことを後悔し、
夜眠れなくなる(電気をつけて寝る)
しかし、そんな私の性格を知っていても、「コワすぎ!」シリーズだけは見ろ!と強く色んな人に(広範囲の人に長期間)薦められた、今から考えると彼らの目は例外なく何かに取りつかれていたように思う。
だがしかし、こういうDVDジャケットなのである。
TSUTAYAではこういうコーナーは足早に通り過ぎてしまう自分であったから躊躇しまくった。
それでも何かに取りつかれたようにこの作品を嬉々として語る親友を信じ、
「えいやっ!」とFILE01『口裂け女捕獲作戦』を借りた。
感想:みんな見てくれ。
ハマった。。。
ハマってしまった・・・。
2015年4月19日にニコニコ生放送でシリーズ一挙上映したら、来場者数:114224人 コメント数:194155、という驚異的な数字を叩きだしたのも頷けるわ、これ面白いもの。
Contents
というわけで、何が面白いのか。
基本は映像会社に投稿者の手によって撮影された、不可思議な現象の謎を工藤ディレクター、アシスタントの市河、カメラマンの田代(この映画の監督である白石晃士)の三人が追跡していくという形式。POV方式(主観映像)によるホラーは、今では飽和したジャンルだが・・・この映画は彼らの追跡が徐々に世界の大きな秘密に繋がっててという風呂敷の広げ方が凄まじい。
いや本当に凄まじくてですね(笑)
異常現象に対して果敢に突っ込んでいく(文字通り)彼らが時に異常現象を上回る行動をしてきて、見ている側の倫理観やフィクションの境目がグラグラ揺らぐわけです。特にディレクター工藤の行動や言動は破天荒すぎて、見ている間は映画館で笑いが起き、見終わった後は物真似をする人が続出する始末。
なおかつこの映画の発明は、日常の細かい異常が徐々に世界の変容へと繋がっていく「クトゥルー神話」を意識した作りのため、POV映画なのに「シリーズ物」として楽しめること。さらに、それを真面目に作っているから、とにかく毎話毎話驚かされる。
フィクションの閾値まで辿り着く怒涛の展開に、見ている側は「これどうすんだよ・・・!」となって、先を考えない白石晃士監督の心意気に胸が熱くなるわけです。そう「コワすぎ!」シリーズはホラー映画にも関わらず「俺たちはこういうのが見たかったんだよ!」と、とにかく心が元気になる作品なのだ!
というわけで「コワすぎ!」を見る前に知っておくといいこと
・・・コホン。というわけで、先ほども言ったように主観映像のホラーでありつつ、続き物ということで最後まで続く伏線も随所にあり、別のシリーズの人物が出てくるということもあって、
「どれから見ればいいの?」
という疑問には
「FILE-01【口裂け女捕獲作戦】」→「FILE-02【震える幽霊】」→「FILE-03【人喰い河童伝説】」→「FILE-04【真相!トイレの花子さん】」→「劇場版・序章【真説・四谷怪談 お岩の呪い】」→「史上最恐の劇場版」→「コワすぎ!最終章」というシリーズ通りの順番で(2015年5月現在)見ていくのがベスト!
「どこで見ることが出来るの?」
TSUTAYAのホラー映画コーナーでレンタルできますが、地域によっては「FILE01」とかは置いてないこともあるそう。劇場版を先に!と猛る気持ちを抑え、その場合にはYouTubeやアマゾンインスタントなどの期限付きレンタルでお金を払えばパソコンから見ることが出来ます。(もちろんニコニコ動画も可能)
というわけで、シリーズごとの解説
ここまでで記事を終えようと思っていたのですが、熱い思いが収まらないので(深夜三時) 「あらすじ・見所・名言・用語」を作成することに。
知らない人が面白く読めて、映画への足掛かりとなるよう出来るだけネタバレを回避するようにしたためフワッフワな解説です、途中まで見て面白そうだとおもったら、是非とも記事をさっさと切り上げて借りてみてください。
FILE.01「口裂け女捕獲作戦」
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【あらすじ】投稿者からのビデオに映っていたのは、近所に出没するトレンチコートを着てマスクをした長い髪の女性だった。彼女の尋常ならざる走りの早さに工藤は「口裂け女」の存在を確信し、金のために捕獲作戦を決行する、しかし彼女に関わる人々は次々と・・・。
【解説】記念すべき第一作。ただ「FILE01」は普通に怖いです(笑)、まだこれから始まる壮大な物語の入り口と言ったところですが、今後の伏線がバリバリ張ってあるところが流石。「キ○ガイだろ」と放送禁止用語炸裂でホームレスに詰め寄る工藤ディレクターの姿に、早い人はこの段階でこの映画の見方を理解するがピンと来なかった人も次の章とセットで見てほしい。
【私的名言】アシスタント市河「もう六日目ですけど、こんなことやって採算とれるんですか」
【出てくる用語】陰陽師、本家と分家、スーパーの袋、呪術、ホームレス、鉄バット
FILE.02「震える幽霊」
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【あらすじ】送られてきた映像に映っていたのは、廃墟で肝試しをする男女四人、彼らは思い思いに笑い合い楽しんでいたが、ある部屋に入った途端異常な出来事が起きる。鈴の音鳴り響くなか彼らの目の前には現れたのは「震える幽霊」だった。工藤たち三人は投稿者と共にその廃墟へと向かう。しかし投稿者にはある秘密があった・・・。
【解説】「本領発揮」という言葉がまさにふさわしく、シリーズで一番好きという人も多いほど衝撃の展開。もはやこれを見た後に「実験だよ、実験」と口ずさまないではいられないほど本シリーズの名言の数々はここから始まったと言っても過言ではない。スカイツリーの使い方が光る。飲み会で見るとたぶんとっても面白いと思う。何気にある18禁的映像もGOOD。
【私的名言】工藤ディレクター「実験だよ!実験!」
【出てくる用語】肝試し、向こう側、花、拳、鏡、先生、スカイツリー、除霊、歩道橋
FILE-03 「人喰い河童伝説」
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【あらすじ】とある事情により、今回は市河と田代カメラマンが投稿された映像に映っていた河童らしきものの調査をすることに。実際その池の周囲には散乱したキュウリ、謎の呪具があった。市河らは事情を聴こうと近所に住む男に話しかけるも、ほのぼの気分では先に進めないことが判明してしまう!そんなとき、工藤ディレクターが満を持しての復帰、彼は自分たちがなにかを捕まえる夢を見たという・・・。
【解説】第一章、第二章に引き続き物語の枠をどんどん越えてきて、ついに・・・(これはネタバレでもなんでもないけれど)「河童」が出ます!「河童」と聞いて舐めきっている我々の目に衝撃の映像が飛び込んできます。迫力はシリーズ随一、終わり方は一番不気味かもしれない。DVDではこの回から白石監督による撮影の裏話や影響を受けた作品についてを聞ける特典映像が収録。
【私的名言】工藤ディレクター「俺ら本気だからよ!」
【出てくる用語】結界、河童、DVD、むかし話、失踪、カップル、陰陽道
FILE-04 「真相!トイレの花子さん」
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【あらすじ】今回送られてきたのは、菜々と英里という二人の女の子が廃校となった母校で「トイレの花子さん」の噂を確かめようとした映像。しかし、そこに映っていたのは奇妙な怪異。さらに翌日部屋で菜々が英里を撮影していると突如部屋の様子が変わり、英里が首を吊っている映像を見てしまう。投稿者の少女たちと工藤ディレクター達(+助っ人除霊師の真壁栞)は真相を確かめようと廃校に突入するも、突如として英里は消えてしまう。果たして工藤達は無事少女を助けることが出来るのか・・・。
【解説】「コワすぎ」の映像を見る少女を映した「コワすぎ」投稿を見る我々という、序盤の笑うポイントから一変、後半の36分はノーカットのように編集しているので疾走感が半端ない。そしてその終わりに待ち受ける映像の衝撃に「あっ」という大声が出てスタッフロールが流れてもしばらく呆然としていた。それも含めて今回は時間の表記の使い方が素晴らしく、まさにPOVの醍醐味が最大限に味わえる。
【私的名言】投稿者「このおっさんヤバイからさ絶対守ってくれるっしょw」
【出てくる用語】花子さん、次元の狭間、友情、椅子、トイレ、疾走、机
劇場版・序章 「真説・四谷怪談 お岩の呪い」
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【あらすじ】前回の出来事がきっかけで、仕事を中断していた一行であったが工藤ディレクターの呼びかけや夢のお告げを元に(+DVDがけっこう売れているのでボーナス目的)で仕事の再開を決意する。今回の調査はとある映画の一場面に映ったあるもの、女優の背後で憎しみの感情浮かべる「顔」。そしてこの映画は「お岩さん」を取り扱ったものだった・・・。調査をするうち、ついに「コワすぎ」スタッフにも異変が起き始める・・・。
【解説】というわけで、今まで異変が起きなかった「コワすぎ」スタッフに異変が起きるという展開にファンは衝撃。個人的には鶴屋南北の正体、FILE03の「河童」以来のハッタリ感があってたまらなく好きです。新キャラであり強キャラの加入は次回への期待を高め、いよいよ終わりへの始まりといったところ。ラストは謎のエモーショナルな感覚に包まれて、なんか泣いてしまったことに自分で驚き。ここは、ある映画からインスピレーションを受けたとのこと、是非DVDの特典映像「コワすぎ!」通信で答え合わせを。
【私的名言】工藤ディレクター「借りは返したからな」
【出てくる用語】お岩さん、因果、映画、お祓い、右目、襖、運命、始まり
戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版
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【あらすじ】ついに映画を作ることになった「コワすぎ」のスタッフたち。映画版に向けて、除霊師・アイドル・物理学者という豪華メンバーを集め、投稿映像にあった入ったものが必ず発狂するという「タタリ村」の潜入取材を試みる。しかし、想像を上回る異常事態の連続に、「コワすぎ」取材班は史上最大の危機を迎える・・・
【解説】まさに集大成。フィクションと倫理の閾値を超える展開に加えて、撮影の裏話もアナーキーで掲載できない。薄々気づいていたが投稿者が主体的に「コワすぎ」の真似をすると大変な目に合うということがわかったので現実世界でも真似しないようにしようと心から思う一本。ところどころ監督の気持ちが伝わってきて熱く、笑える名言のオンパレード。ある意味全員発狂。監督が自腹を出したオーディオ・コメンタリーは裏話と映像込みであっという間で二回美味しい。
【私的名言】宇龍院道玄「もう、そういう次元じゃねえんだよ!」
【出てくる用語】陰謀、運命、祟り、神、旧日本軍、儀式、映像、発狂、首
戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章
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【あらすじ・解説】あの前回の映像から一年半、田代は変わってしまった世界の中で、ひたすら彼らを探し求める。「ただちに悪影響はない」とする政府の見解、そして生放送で傍観者だったカメラマン田代がついに動き出す。戦いは最終決戦へ・・・。
作品を見る前に是非『オカルト』を、もう見てしまった人も『オカルト』を(できれば『殺人ワークショップ』も、あとできれば『ノロイ』も)世界を救うための人間の底力を味わえる。
「もう何も怖くない」
最終章に関してはこちらでネタバレ込みで解説。(本編終了後にでも見てください)
【私的名言】謎の男「握手や、田代くん」
【出てくる用語】シナリオ、4つの試練、世界の終わり、最終決戦、指、パンツ
というわけで、この作品を初期から応援している偉大な先人たちに敬意を表しつつ『コワスギ』ビギナーですがまとめました。
最後に「コワすぎ通信」より白石監督の名言。
「面白いのを作って金持ちになりたい」
健全!!!
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