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ビジネス書中毒に注意せよ!『読書で賢く生きる。』(ベスト新書)感想

      2015/11/26

中川淳一郎・漆原直行・山本一郎という著者の名前がなければ『読書で賢く生きる。』というタイトルでは決して手に取らなった類の本である。が、これがべらぼうに面白かった。

舌鋒鋭き彼らの共通見解は一つ、ちまたに溢れるキャッチーなベストセラービジネス書を読んでも、その人は仕事ができるようになるわけではないし、お金が稼げるわけではないということ。

 

言ってしまった・・・。

みんななんとなく思っていたことを(笑)

さらに、これらを売るための出版社の思惑・信者を増やしたい著者の思惑・「仲間意識を醸成させる」本の書き方まで全部ばらしていく実に素敵な本。

漆原直行「もっと言ってしまえば、ビジネス書作家という肩書が欲しいと、セルフブランディングありきで本を出しているような著者とか、自分がやっている胡散臭いセミナーとか講演会に誘導するためのフロント商材的に本を出したい著者とか、本当に気持ち悪い」(p72)

しかし読書という行為自体は、少数の人が知っている情報を得るためにスマホをずっとしているよりは確実に良く、自分を相対化する営みとしても肯定される。同意。

そして各自の実践的読書論が紹介されるのだが、この切り口がなかなか斬新だった。

なかでも中川淳一郎の文章が面白い。学研「ひみつシリーズ」で物事の基礎を学び、椎名誠をロールモデルとする彼は、別の世代の人と話すための手段として若い人に上の世代が共通ワードとして持つ『北斗の拳』『聖闘士星矢』『三国志』『美味しんぼ』を勧める。合理的に信者を獲得することに必死なビジネス本著者には出てこない視点である。

書店では売っておらず、図書館などで

書店では売っておらず、図書館などで読むことが出来る「ひみつシリーズ」

 

板谷敏彦『金融の世界史』(新潮選書)などを取り上げる山本一郎のおススメ本もタメになったが、本を集中して読む「瞑想的読書」とも言うべき方法はDVDに関しても使えるように思った。

膝を90度に曲げた状態にして、床に足をおろせる椅子へと深く腰掛けます。姿勢を正し、目を瞑り、深呼吸をして瞼に映る残像を追います。時間にして早い時で2分、時間のかかる時で15分ほどかかりますが、雑念を抜き、本を読むための準備を行います。本のまわりがぼんやりする状態になったら本へ対峙する

彼ら三人が単純にビジネス書を馬鹿にしているわけではないというのもポイント、「ネット」「金融」「ライフハック」「独立」「生き方」と言う抽象的な言葉で人を幻惑するものは、そこに無数の屍があることを隠しており、常識人たれということを確認するためならば、無数の乱造された自己啓発本を読むよりも『7つの習慣』『思考は現実化する』『人を動かす』といった数冊の原典を読むだけで十分だと言う。

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そもそも自己啓発の源流はキリスト教の一派であるニューソート思想にあるから、自己啓発書は他の本より出版社の意図、本を出すタイミング、著者の経歴が重要である。だからビジネス書の本当の楽しみ方はそうした裏読みにあるという意見は面白かった。

言ってることは半端なく浅いが、読むとなんかなにかが出来そうな感じになる自己啓発書の類は形を変えてずっと続くのは間違いない。なのでこの本も、むやみやたらに笑顔で自己啓発書を語る人の近くで護符のように掲げたいし、新刊ビジネス棚に檸檬のごとく置いて帰りたいずっと読まれるべき名著である。

間に挟まれた三回分の「阿佐ヶ谷ロフト」トークイベント抜粋も名言集のオンパレードで、ゲラゲラと部屋で大笑いしてしまった。

中川淳一郎「黙れこのパクリ野郎ども!」(本書より抜粋)

*各著者が絶賛していた村上福之の『ソーシャルもうええねん (Nanaブックス)』は気になる。

 

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