~悪問に負けず頭を動かそう~『ポール・スローンのウミガメのスープ』(エクスナレッジ)書評
2015/12/02
また2ちゃんねるのオカルト板に入り浸ってしまっていてこんな時間。
東京郊外で心が沈むと陰謀論に胸が躍るこの頃、怖い話とかそういうのは何か感情にざわつきがおきるからいいものです(寝れなくなるけど)
だから「意味が解ったら怖い話」とかそういうのも心がざわざわして好き。これは文章系クイズと「人の悪意」を融合したような感じでネット上に溢れるそれらテクストを見ていると時間が何時間でも過ぎていきます。
でも、人の悪意が嫌いな人もいると思うのでそういう人には『ポール・スローンのウミガメのスープ』が良さそう
エクスナレッジ
売り上げランキング: 12545
ネットに馴染んでる人なら一度は見たことがあるんじゃないかという問題がタイトルとなっているこの本。
男がレストランに入り、メニューから「ウミガメのスープ」を頼んだ。それを一口食べた彼はレストランを飛び出し、持っていた拳銃で自殺してしまった。何故だろう?
『ポール・スローンのウミガメのスープ』から文章を引用。
・
・
・
「ウミガメのスープ」としてよく知られているこの問題の正解は
「男は何年か前に、家族や友人の仲間とともに海で遭難し、餓死寸前になるまで漂流したことがあった。彼がレストランでウミガメのスープを頼んだのは、漂流中に食べたウミガメのスープの味が忘れられれなかったからだ。しかし男はスープを口にした瞬間、自分が、今初めてウミガメのスープを食べていることを知った。かつて口にしたウミガメのスープとは、味がまったく違っていたのだ。そして彼は気づいてしまった。漂流中にウミガメのスープだと言われて食べた肉が、実は漂流中に衰弱死した自分の息子のものだったということに・・・」
わかるかそんなもん!( ̄□ ̄;)!!
と、初めてその答えを聞いた時には毒づいたものです。
しかし今回この問題と同名のポール・スローンの本を読んでわかったのが、これは「水平思考推理ゲーム(LTP=Lateral Thinking Puzzles)の一種だったこと。
「水平思考推理ゲーム」とは出題者の出した謎に対して「はい」「いいえ」「関係ありません」の3つで返せる質問を回答者がすることで答えに迫っていくという思考実験のひとつ。つまり、答えそのものよりも、その過程を楽しんでいく感じみたいです。
で、この本はそういう問題がバンバン載っていて、実際に仮想回答者が謎に関して質問をしていくという形式(友達がいなくても大丈夫♪)
その中には「ウミガメのスープ」のように答えはひどい難問(悪問)でもその過程を楽しむことに意味があるものから「ああやられた!」というとんち系の問題もある。
たとえば、
ある男がアイルランドのダブリンからコークまで、街道に沿って歩いていたが、パブの前を一軒も通り過ぎなかった。アイルランドでは。パブは非常に多くみられるものである。ではなぜ、彼の身にこのようなことが起きたのだろう?
(ヒント)
後半は完全にブラフというか、思考を定まらなくする誘導である。
前半に思考を集中させる。こうしてみるとどうだろう。
「ある男がアイルランドのダブリンからコークまで、街道に沿って歩いていたが、パブの前を一軒も通り過ぎなかった。」
↓
「ある男がアイルランドのダブリンからコークまで、街道に沿って歩いていたが、パブの前を一軒も「通り過ぎ」なかった。」
・
・
・
はい、というわけで難易度一つ星のこの問題の答えは「男は道中にある。すべてのパブに立ち寄ったのだ。ゆえに一軒も「通り過ぎ」はしなかったのである」
というものでした。
この本はたぶん7割が思考の過程を楽しむもので、3割がこのようにとんち系の問題という比率。
「ウミガメのスープ」だけではなく、「ポールスローンの腕を送る男」「ポールスローンの札束を焼く強盗」「ウミガメのスープ4-借金をふみ倒せ」と様々なシリーズが続編としてあり、
難易度地獄級!?質問から真相を導きだす斬新な推理ゲーム!(二人以上で遊んでね)[ウミガメのスープ] – NAVER まとめ
これはたぶん書籍からいっぱい引用してて良問ばかりなので雰囲気を楽しめると思う。
なんか最近頭固くなってるかもとかいう時に「水平思考推理ゲーム」はオススメです。問題解いてると本当けっこう頭がスッキリすることが多いから。
これ関係で一番有名なのはやっぱり「頭の体操」ですかね。
そういえばちょっと前にフジテレビで放送していた「ソモサンセッパ」とかは「やられた感」を集めた良門ばかりで面白かった(飲み会の席とかで問題出し合って盛り上がった)
*wikiによると「ウミガメのスープ」は1991年12月にフジテレビ系のオムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』で実写化されているとのこと。(出演はいかりや長介と天本英世)見てみたい!
【関連記事】
関連記事
-
-
反スペクタクルへの意志『テロルと映画』(四方田犬彦・中公新書)感想
映画は見世物である。激しい音や目の前に広がる大きなスクリーンによって人々の欲望を …
-
-
【書評】映画秘宝とオトナアニメの究極タッグがついに聞き出した!『アニメクリエイタ―の選んだ至高の映画』(洋泉社)
アニメクリエイターが映画について語る語る 複数のアニメクリエイターが映画について …
-
-
【書評】『教養は「事典」で磨け』(光文社新書・成毛眞)&おすすめの事典三冊
重く、分厚く、持ち歩くには難しく、値段も高いため余程のことがない限りは開かない「 …
-
-
映画館はつらいよ『映画館のつくり方』(映画芸術編集部)
映画好きなら1度は考えるかもしれない。 「映画館を運営するということ」 しかし、 …
-
-
ゆきゆきて80年代、斉藤守彦『80年代映画館物語』(洋泉社)書評
「1980年代の東京」 そこは当時を知ってる人の言葉でいうならば「世界中の映画が …
-
-
工藤啓・西田亮介『無業社会』評~根性論からの脱却~
朝日新書『無業社会』工藤啓・西田亮介(著)を読みながら、他人事じゃないという強い …
-
-
名言も豊富!大笑い読書漫画、『バーナード嬢曰く。』感想
本についての漫画や小説は面白い。物語形式でその本についての思い入れを語ってくれる …
-
-
本を開きて人が来る、磯井純充『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』(学芸出版社)書評
中学生の頃『耳をすませば』に憧れ、蔵書が凄い図書室を持つ高校(自分にとっては非 …
-
-
女性器サラリと言えますか?『私の体がワイセツ?!女のそこだけなぜタブー』(ろくでなし子、筑摩書房)感想
検索結果の順位が下がったり、サイト全体の評価が下がったりとそういうことで、グーグ …
-
-
264万句のつぶやき、仲畑 貴志『万能川柳20周年記念ベスト版』(毎日新聞社)書評
少し前に広告コピーをまとめた本について書いた時に悪口をたくさん言った。でもその本 …


