映画クレヨンしんちゃんの最新作は歴代屈指のエグさ(少しネタバレ)
2015/11/26
劇場でこのポスターを見た時から、「泣かせる気満々じゃないか・・・」と自分の中でハードルを上げて火曜日に渋谷で見たわけですが、
いやー、泣いたわ。でもとってもエグイ。
Contents
「クレヨンしんちゃん ガチンコ逆襲のロボとーちゃん」のあらすじ
「カンタムロボ」の最新映画を見た帰り、野原ひろしは映画に出てくる合体を真似してギックリ腰になってしまう。
必死の思いでたどりついた病院は休み、けれどその帰り道、謎の美女の勧誘を受けエステでマッサージをしてもらうことに。ひろしは治療の気持ち良さにそのまま眠りこみ、目が覚めた時には身体が良く動くと大満足。
だが上機嫌で家に帰ると待っていたのは家族の悲鳴。なんと彼の身体はロボットになっていた。はじめのうちは戸惑っていたしんのすけたちも家事を万能にこなす「ロボとーちゃん」を次第に受け入れ始める。しかし彼の身体には大いなる陰謀が隠されていた・・・。
見所①大人になったファンへのサービス
見終わった後の感想:「しゃーーーーー!良いもん見たぜ!!!!」
予告編で出ている映像はほとんど本編の導入部分。つまり、物語がどう転んでいくのか見当もつかないハラハラ感が強い。
前作の「B級グルメサバイバル」が予想以上に面白かった&「脚本が『天元突破グレンラガン』の中島かずきだし今回も良さそう・・・」なんて考えていたら始まっていきなりの「カンタムロボ」(笑)、ジョン青年が27歳になっててテレビ版が終了した後にも幾度となく悪と戦ってるとのこと。
「カンタムロボ」の最終回って俺がまだテレビ版見てた時だからいつ以来だ・・・と感動してたらジョン青年の声が檜山修之&「最近のドリルは尖ってないのか!?」&カンタムJrの「でも科学は前に進んでいる」とかいう台詞にグレンラガンのオマージュたっぷり。
そう、見所ポイントとしては、子供にはわかりづらいファンサービスとアダルトジョーク。見ている最中笑った後で何度も「これ子供わかんねえだろう」と思うことしきり、でも過去の傑作だって決してわかりやすくなかったし、それでも面白かった子供の頃の記憶があるから大丈夫と考え直す。それに終盤の展開は大人だろうが子供だろうがついていけないし(笑)
見所②「父親」とは何かというテーマ
ファン向けの作品ではあるが、知識を散りばめて作品のパワーが薄くなっているというような最近のシリーズものにある弱点はまったくなく、歴代作品に匹敵するパワーを支えるものに「父親」とは何か?というテーマがある。
より詳しく言えば、たとえば「オトナ帝国の逆襲」では子供と大人という対立軸に「昭和」というスパイスを利かせ、親であるとはどういうことかに重点が置かれていたが、今回はもう少し突っ込み「現代の父親」とは何か?ということを野原ひろしを通じて描いている。
弱体化した日本を復活させる父親の復権を唱える、ある意味で現状を風刺しているような父親の理想を説く敵もきっちりしていたからこそ、ラストシーンの普遍的な感動へといたる。そして本作品は父親の物語である以上に、それと対になる野原みさえの物語でもある。初めてロボとーちゃんを抱きしめる→通り過ぎる→最後の一言へというストーリー展開はある意味で「アッパレ!戦国大合戦」より胸を刺されて、だから「泣けるけどエグい」
見所③小道具とゲストキャラの使い方が良い!
ピーマンなどの小道具の使い方の丁寧、魅力的な音楽、そして何より芸能人の声優を使ってのゲストキャラがいままでにないぐらい成功していたように思う。
公開している劇場では夜の回が少ないので大人は見に行くの大変だと思うけど、むかしクレヨンしんちゃんの映画を見ていて最近のは何だかなあと思ってた人にこそ行ってほしい。あと『クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』のラストを思い出させる展開に「あれ?」と思ってEDの絵コンテで湯浅政明と出てきたときには心の中でヒャッホーーー!と叫んでほしい。
特にコロッケの演技は必見、そのコロッケが役作りのためにしたことも面白い。
コロッケ「頑馬博士は独り言が多いので、薬の使用上の注意書きを読んで練習しました。なぜなら使用上の注意は日常生活によくあるもの。それでいてわざわざ人に読み聞かせるものではないから、独り言の練習にピッタリだったんです」※女性セブン2014年5月8・15日号より
(追記)次作『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』の公開を記念するかたちで、2015年4月10日にテレビ朝日での地上波放送が決定とのこと(2015年3月29日現在の情報)
バンダイビジュアル
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