名作+怪獣+ウルトラマン=「ウルトラかいじゅう絵本」のカオスな物語たち
2016/06/08
ウルトラマン×絵本といえば思い出すのは、子育てに奮闘するウルトラマンやバルタン星人の姿をユーモラスに描いたみやにし たつや「おとうさんはウルトラマン」といった名作もありますが、
今回紹介するのはこれ「ウルトラかいじゅう絵本シリーズ」(出版社・あいうえお館)
誰もが知っている古今東西の物語を下敷きにウルトラマンに出てくる怪獣達が大活躍するこの絵本、たまたま書店で見つけてぱらぱらと読んだら展開がカオスすぎてすっかり魅了されてしまいました。
もちろん普通の物語もあります。友だちが風邪にかかったのをなんとかしなきゃと決意したタイショーがウルトラの母に相談し、手洗いをすることで敵を退治する「ダリーをやっつけろ」や、おじいちゃんのもとへ行くピグモンを騙そうとするケムール人やザラブ星人がゴモラとゾフィーによって痛い目にあう「ピグモンのおつかい」などは子供の教育にも効果を発揮する素晴らしい作品です。
Contents
必見「ウルトラかいじゅう絵本」名作選
しかし今回は昔からのウルトラマンファンも読みたくなること間違いなし!
シリーズのなかでもズバ抜けて自分が面白いと思った(展開に無理があるだろ!)な三冊をピックアップしてみました。
【ウルトラマン絵本第三位】「はしれギンガ」(原作:走れメロス)
ウルトラの母のくすりをかいにきたウルトラマンギンガとビクトリー、しかしその国では、悪い王様ベリアルが民衆(かいじゅう)たちをいじめていました。
許せないと憤る二人は抗議しに行ってベリアルに捕まってしまいます。けれどウルトラの母に薬を渡すため、ギンガの代わりにビクトリーが牢屋に入れられ、ベリアルはギンガに向かって戻ってこなくていいぞ、お前の心はわかっていると高笑い。
薬を届けるために走るギンガ、無事に薬を渡し急いで帰ろうとしますが疲労はピークに。あきらめかけるギンガ、でも、ここで倒れたらビクトリーは牢屋から出られなくなってしまう!力の限り走ります。
戻ってきたギンガを見て「俺が間違っていた信じるというのはよいものだな」とベリアルは回心するのでした。
めでたしめでたし。
このベリアル絶対反省してないよ(笑)というラストシーンの悪人顔も含めて、タイトルを見たとき、読んでいる最中、読み終わって誰もがツッコミたくなる絵本。
ウルトラマンだから飛べばいいのでは。
【ウルトラマン絵本第二位】「カネゴンとかきのたね」(原作:さるかにがっせん)
株式会社あいうえお館
売り上げランキング: 373528
「あるはれたひ カネゴンはおにぎりをもってさんぽにでかけました」
そこに強襲するメフィラス星人!「きみのおにぎりとかきのたねを交換しないかね」
「おにぎりは一度食べるとなくなるけど、柿の木はいくらでも食べられる!」と言葉巧みなメフィラスに騙されるカネゴン、しかしその柿の種を地面に埋めるとなんと大きな柿の木が出来ました。でもカネゴン君は背が小さく柿の実をとることができません。
そこにふたたびメフィラス星人登場「どれ、わたしがとってやろうじゃないか」と言って木に登り一人で柿を食べ始めました。
「ぼくにもおくれよ」と抗議するカネゴンでしたが、メフィラス星人は青い柿をカネゴンに投げつけ、いじめて、高笑い。
泣いているカネゴンのもとにモチロン、サボテンダー、ナメゴン、エレキングがやってきます。
そしてみんなはメフィラス星人をこらしめようと画策するのでした。復讐の時は来たれり!
【ウルトラマン絵本第一位】「なにがぬけるかな」(原作:おおきなかぶ)
あいうえお館
売り上げランキング: 503726
ある日ダダがお散歩をしていると、どこからか「助けて」という声が。
声のする方向へ行くとそこには大きな野菜が生えていて「あなにはまってうごけないの」と言っています。
ダダは頑張って引っ張りますが全然抜けません。ともだちのガッツ星人を呼んで抜こうとしますが抜けません。
レッドキング、きょうりゅうせんしゃをよんできますが抜けません。
かいじゅうたちの数はますます増えていき・・・。
ゼットン、エレキング、タイラント、バードンまで手伝いにやってきます。
しかし、それでも抜けません。果たして穴の中に入ったかいじゅうを助けることは出来るのでしょうか・・・?
最終的なメンバーは読んでのお楽しみとして「お前までくるのかよ!」とウルトラマンのファンなら必見の一冊。
終わりに、動画もあるよ
個人的に好きだった一冊をあげるなら「ブースカのふゆじたく」
あいうえお館
売り上げランキング: 144608
まず絵が可愛い。
「よう、ブースカじゃないか、そんなにあせをかいて なにをして いるんだい」とお調子者のババルウ星人と純朴なブースカというチョイスが絶妙で原作の「アリとキリギリス」よりも優しい展開に涙が出てきます。
「ウルトラかいじゅう絵本」シリーズは出版社の「あいうえお館」が読み聞かせをしている動画もあり!
【関連記事】
関連記事
-
-
【書評】言葉以外を武器として『フィログラフィックス 哲学をデザインする』(ジェニス・カレーラス・フィルムアート社)
フィルムアート社から4月に出版されたジェニス・カレーラス著『フィログラフィックス …
-
-
【書評】青ペン効果。信じるか信じないかは・・・『頭がよくなる 青ペン書きなぐり勉強法』(相川 秀希・KADOKAWA/中経出版)
『頭がよくなる 青ペン書きなぐり勉強法』(相川 秀希・KADOKAWA/中経出版 …
-
-
映画への畏怖を叩き込まれる名著『淀川長治 —カムバック、映画の語り部』(河出書房新社)感想
最近は映画について書くことに悩んでいて、単体の映画について善し悪しを言うよりも。 …
-
-
【書評】『教養は「事典」で磨け』(光文社新書・成毛眞)&おすすめの事典三冊
重く、分厚く、持ち歩くには難しく、値段も高いため余程のことがない限りは開かない「 …
-
-
【書評】ビートたけしVS大英博物館『たけしの大英博物館見聞録』(新潮社・とんぼの本)
現在、東京都美術館で「大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史」が開かれている …
-
-
本を開きて人が来る、磯井純充『本で人をつなぐ まちライブラリーのつくりかた』(学芸出版社)書評
中学生の頃『耳をすませば』に憧れ、蔵書が凄い図書室を持つ高校(自分にとっては非 …
-
-
斉藤守彦『映画宣伝ミラクルワールド』書評~邪がまかり通る!~
過去の映画について何故ここまで話が通じるのか 雑誌『映画秘宝』を読むたび&ゴー …
-
-
上野千鶴子に映画の見方を学ぶ『映画から見える世界―観なくても楽しめる、ちづこ流シネマガイド』感想
数年前に新宿シネマカリテで、レオス・カラックス監督の映画『ホーリーモーターズ』を …
-
-
旅を本当に楽しむための本『旅を楽しむ!トリビア大百科』
一時期、「1秒間」に世界ではどんな出来事が起きているかという広告が電車内に掲載さ …
-
-
「映画の魔」とトラウマアニメ『花子さんがきた!!』
高橋洋の『映画の魔』を読んでいたら、こんな記述があった。 恐怖はショックを介して …