~永遠なるものへの願い~映画『アウトサイダー』評
2015/12/02
アーツアンドクラフツ社『英詩と映画』より「Nothing gold can stay.」ロバート・フロストの詩
物語のはじまり
部屋のなかで少年にも青年のようにも見える一人の人物が部屋の中でノートに文章を書いている。そこにスティーヴィー・ワンダーの『stay gold』が流れるところから映画『アウトサイダー』は始まる。原作S・E・ヒントン、フランシス・フォード・コッポラが監督したこの作品はオクラホマ州タルサに暮らす若者の青春を描いた物語だ。
この街では裕福な若者達が「ソッシュ」、社会の底辺で暮らすものが「グリース」という組織を作り常に2つのグループの間で抗争が繰り返されていた。主人公であるポニーボーイも一緒に暮らす兄二人と共に「グリース」に属し、同じグループの兄貴分であるダラスや友人のジョニーとつるみ日々を過ごしている。
逃避、つかの間の休息
ある日、兄と喧嘩したポニーボーイと親が嫌で逃げ出したジョニーが共に公園で過ごしている時、以前から因縁をつけられていた「ソッシュ」のメンバーに二人は襲われる。乱闘の末にジョニーは捕まったポニーボーイを助けようと相手をナイフで刺し殺してしまう。茫然自失とする二人はダラスに相談、そしてほとぼりがさめるまで街を出るように言われる。
この二人がそのまま無賃乗車で街を離れ廃墟の教会に身を寄せ生活していく描写が本当に素晴らしい。
教会の寒い床で寝て、ふやけたトランプで遊び、『風と共に去りぬ』を読みあい普段話さないことを語り合う。街と言うしがらみから離れたところでつかの間の楽園を楽しみ夕焼けを見る、その時ポニーボーイはつぶやく「nothing gold can stay」と
この映画の中で、一番美しいシーンだ。
夕焼けの美しさの永遠を願うジョニーに対し、ポニーボーイはこのフロストの詩を聞かせる。「黄金色はいつまでも続かない」と、それは今のこの状況、自分たち自身についてのことでもある。
救出、戦い、そして・・・
しばらくして教会を訪れたダラスは、ポニーボーイの兄が心配していること、殺人の件は正当防衛になりそうだと告げ三人でドライブに出かける。しかし元の場所へ戻ったとき、教会は火事になっており偶然来ていた子供たちがそこに取り残されていた。彼らを助けるためポニーボーイとジョニーは、ダラスの忠告を聞かず燃える教会へ入る。仕方なく協力したダラスの援護もあり子ども達を救出することに成功。
だが三人は負傷、特にジョニーは重い傷を負ってしまう。
不良少年である「グリース」が人助けをした、というニュースは瞬く間に広がった。その行動に関しソッシュのメンバーの一人とも主人公は語り合い敵対する側にも事情があることを知る。しかしソッシュとグリースとの決戦の日は近づいていた。
ポニーボーイはドライブインシアターで出会った上流階級の女の子ともつかの間の交流を楽しみ、夕焼けはどこからでも見える、上流階級の家からでも下層階級からでもと言い、戦いへ身を投じる決意をする。
ソッシュとグリースとの決戦は激闘の末、グリースが勝利を収めた。その勝利の報告をジョニーへと告げに病院へ向かうポニーボーイとダラス、しかしジョニーは到着すると同時に息を引き取ってしまう。
ダラスに「喧嘩はよせ」、ポニーボーイに「Stay gold」と言い残して。
泣き崩れるダラスは自暴自棄になり、そして・・・。
stay goldであること
全てが終わったあと一人、部屋の中あの教会で読んだ『風と共に去りぬ』を見るポニーボーイ。そこに一枚の手紙が挟まっているのを発見する。
それは自分の選択は間違ってなく「子供たちを救ったことに価値はあった」というジョニーの遺言であった。遺言にはあの教会での素晴らしい日々の思い出、そこで語られたフロストの詩の黄金とは子どもの純真さであるという思い。そうした夕焼けを眺める純真な黄金の心をダラスに教えてやってくれという願いがつづられていた。
そして最後に「この世は素晴らしい」と語り、ポニーボーイにはどうかあの夕焼けを見たままの純真無垢な黄金のままでいてほしいという祈りが届けられ手紙は終わる。
永遠の不可能性を知りつつ、それでもポニーボーイに「stay gold」でいてくれと願ったジョニーの手紙を読み終わり、ポニーボーイはペンを取る。
あの黄金色の日々をつなぎとめるように、その物語のタイトルはこう記されていた
「The Outsiders」と。
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最後に原作小説『アウトサイダー』からの「Nothing gold can stay」の和訳、いくつかの訳がありますが、ここでは2000年に出版された唐沢則幸の訳本(↓)を参照。
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「輝きは永遠には続かず」
自然の最初の芽吹きは金、
最もとどめ難きその色合い。
萌え出づる若葉は花、
なれどそれもわずか一刻。
やがて葉は葉へと戻り、
エデンは悲しみに沈み、
暁は昼へとうつろう。
輝きは永遠には続かず
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