映画『イル・ポスティーノ』についての文章を寄稿しました。
2015/11/26
「きまやのきまま屋」さんというサイトに映画『イル・ポスティーノ』について寄稿させてもらいました。
映画『イル・ポスティーノ』における友情と詩と世界の変容【寄稿】 – きまやのきまま屋
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
売り上げランキング: 68194
詩の最適の入門は詩を読んでもらうことですが、詩という形式にまったく興味がない人へ解説なしに詩へ入ってもらうにはどうすればいいか。
何となく考えたのは「詩と○○」といったように、ある作品において詩がどのように使われているかを見ていけば何か面白いものが出てくるのではないかということです。詩と漫画、詩と絵画、詩とテレビ・・・組み合わせはいくらでも思いつきそうですが、ここで自分は「映画」を選択しました。
そもそも自分が詩を読み作り始めたのは外国文学に引用される詩がどのように使われているのか理解したいということがキッカケでした、だから同じように映画における詩の使われ方について見ていこうというのは言葉と映像と言う境目はあるにしてもそこまで「越境する」イメージはありませんでした。
詩はいくらでも解釈できます。そして他人の詩の解釈を聞いてもその詩の理解には完全には繋がりませんが、しかしある種の補助線にはなると思っています。私の考えとして感覚および感情は自明の物ではないといったものがあるからです。読めないものが読めるようになること、わからないものがあるとき突然胸に響くこと。それが詩を読む醍醐味です。
ある作り手が詩を作品に引用しているということ、私はそこに彼らが何らかの意図を選び取ったのだと見ています。風景の詩だったら、背景にはどんな画面が広がっているか。恋の詩だったら、その詩をつぶやいたことにより物語に何が添えられたか等、つまり作品における作用という話です。
それを見ていくことは、ともすれば恣意的になるかもしれません。しかし出来る限り映画の見方を広げようということ、そして詩の理解への補助線にはなるはずです。また意図もなく、ただ言葉の詩的イメージを放り投げ、深遠な印象を作り出しているだけなのか、そのことを精査してもいいと思います。少なくともそのことによって風景の美しさや物語の難しさを「詩的」と呼んでわかった気になる評論とは異なる見方が広がるはずです。
といいつつも、映画によってあまりにもやり方が違うことに筆が進まず。最初は『イル・ポスティーノ』か『いまを生きる』を取り上げようと漠然と思っていた時に、今回の依頼が来たわけです。
メモ帳に貼り付けただけのそっけない文章が文末を整えてもらったり、リード文をつけてもらうことによって読みやすくなる。「web編集」の巧みさを知り良い勉強になりました。
これを参考に今度は『いまを生きる』の詩について書いてみようと思います。
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
売り上げランキング: 3154
【関連記事】
関連記事
-
雑誌『POPEYE6月号』「僕の好きな映画」特集は時に面白く、たまにむかつく
男「ETってやっぱ面白いよね」 女「わかる。あたしなんてあのテーマ聞いただけでう …
-
~再生せよ、と川に響く音~映画『ダムネーション』評
『千と千尋の神隠し』で一番好きな場面は湯屋に来た腐れ神を千尋がおもてなしする場面 …
-
衝撃の全員馬鹿ノート!ネットフリックス版「デスノート」感想
2017年ネットフリックスオリジナルで、デスノートが配信された。 監督は『サプラ …
-
尊敬する映画「シュガーマン 奇跡に愛された男」感想
DOMMUNEでホドロフスキーの特集をやっていた。 そのなかでグレートサスケが最 …
-
映画『コードネームU.N.C.L.E.』感想、どこから切っていってもガイ・リッチー
なんだかスパイ映画が多かった2015年の末尾に公開された『コードネームU.N.C …
-
溢れる80年代作品へのオマージュ映画『Kung Fury』がネットフリックスで配信中!!
「Kung Fury」 カンフーにFURY=「激怒」を混ぜた造語ですね、もう既に …
-
喋るテディベアに市民権を!!映画『テッド2』感想
あらすじ 前作にも登場するバイト先で出会ったタミ・リン(ジェシカ・バース)と無事 …
-
恥ずかしがり屋がマサラシステムでインド映画「スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1」を見てきた
5月16日金曜夜、渋谷シネマライズで「スチューデント・オブ・ザ・イヤ …
-
日本初の4DX専用映画にしてホラー作品『ボクソール★ライドショー恐怖の廃校脱出!』を体感してきた
上映時間25分の映画を見るために上映料金1300円以上のお金をかけてユナイテッド …
-
新宿で良作映画中毒「カリコレ2015」が今年も始まる
今年も新宿シネマカリテで「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015 …