『 じぶんの学びの見つけ方』刊行記念、高山宏×石岡良治トークショーまとめ
2016/05/23
トークショーの意義について、物としての本
(石岡良治)
・こういうイベントの意味を考えると今のミュージシャンに近いのかとも思う。
今のミュージシャンは音源が売れず、ライブをする現場で物販などをしている。現物だけという立場ではなくこういう本を書いたので書籍が電子化する流れにはついていくが、しかしかつての高山宏の研究室のように物量として並んでいることのeffectはある。深夜の内容のないアニメを見て徒労感に襲われることもあるが、そういう量的なものに対する確信(注:この辺ノート曖昧です)
(高山宏)
・90年代はいろいろお金とか人間関係でぐしゃぐしゃだったこと。
・60歳から本に対する価値観が変わった。Bクラスの本は図書館に寄贈するようになった。山口さんの本も一冊も持ってない、自分が関わりがある人で最近単行本未収録の書籍が出たが、未収録なことに価値がある。亡くなった後に出すなよという話。中沢君と対談したのもそうなんだけど「本人が生きていることと結びついて書くことに関心がある」
そんな書き手が澁澤龍彦だった。澁澤龍彦が亡くなった後の追悼文やら月報やらがうざったく、なおかつそれを文章で書いてしまうから嫌われたお話。
自分の本でも読み返すのは一冊だけ。
「それは
『超人高山宏のつくり方』だよねえ」(会場大爆笑)
これを読むと「生きてて、そして書いたんだな」と思い出す。
『超人高山宏のつくり方』に載っている話
2年間で55000冊の洋書をカード化し、その13万2000枚のカードは書庫がなくなった今でもある。ラテン語で最後に
「ここに無駄な青春一個終わる」と書いた。
たぶん誰も真似できず、今では役に立たないシステム。そして独学の無手勝流だった。そういうものに対する崇高な信仰のようなものがある。良いか悪いかそのころの経験が自分の人生を確定させた、そしておかしくなった。
そうしたものが「EYES」につながる。だからこれを読んで学んだ人がいるというのは感慨深い。高山宏「だいたい、読んでない本をカタログの中から選別して読めとカタログで書くんだからひどいよね」高山宏で検索すると「うそつき」と出てくる。
そういう20~25歳をどう学びに使うかということ、この本(『じぶんの学びの見つけ方』)を自己啓発で買っている人がいるが意味がない(笑)大好きな理由は、そういう無手勝流で学者だとも思ったことがない自分だから学会の外で学ぶ人を見たいということ、だからこの本は各自の武勇伝だという位置づけで読んだほうがいい。
・自分がそういう風にできたのは時代も良かった。80年代のニューアカっていうのは助手文化でありやることがなくて原稿料が高かった。そりゃあ書くぜのラッキーな世代。大学もやる気がなかった。GSの一号も1枚1万円という原稿料。
そりゃあ書くよね、700枚。(笑)(「で振込見たら30万だった」)
だから、いばっちゃあ駄目な世代なんだよ、本を買おうと頑張った記憶もない。
今の若い人たちには書けないのではなく、書く場がない。そうした意味で『超人高山宏のつくり方』はノスタルジアと幸運の本。
(石岡良治)
「お話聞いてて考えたことで質問なんですが、カタログ的なある意味で情報抽出の仕事と、生きている人間への関心から書く仕事というのはどういう風に結び付く感じでしょうか?」
(高山宏)
「僕は一般名詞としての人類を憎んでいる」
そんな僕を松岡正剛は「律儀な無頼だね」と呼んだ。つまり人が社会が世間がについてまったく興味を持てない。どろどろが好きである(笑)ただ、そういう人非人じゃないと越えられない仕事とクオリティがある。
実に精巧な機械として不眠不休で仕事してしまう。(「嘘つけ!どこが機械だ」と原稿を待っている会場の編集者は思っているだろうねw)
例えば『ブック・カーニヴァル』という本があって、これも今は持ってないけど(笑)
1995年にひと夏で4冊の本を翻訳したとき、ひどく暑い夏で全身に蕁麻疹が出来て膿が出た。「俺は死ぬ」と考えて、高山が死んだあとの寂しさを書けと知人に依頼した。
そしたらみんな「楽しい、楽しい」となった。
自分としては墓石のつもりだった。そういう知識に魅了されてる。だから教えるというのはいい仕事。自分の父親が持っていた好きな写真が三歳の頃の自分がトンネルを指さして年上にループ式トンネルについて講義しているというもの(笑)
だけど、MOOK的なものでだんだんそうした教えることできなくなってくる時代にきている。
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