「打率9割9分9厘、それはゴリラ」映画『ミスターGO!』感想
2015/11/26
予告があまりにも微妙だったので、どうなんだろうと思いつつ感想が誰からもあがってこないので上映最終日に地元のシネコンへ特攻。
観客は
俺一人
「九回二死満塁。代打、ゴリラ。」
この映画のすべてがわかるキャッチコピー(歴代ベスト級の語感の良さ、発音してみよう)
感想:凄く良く出来てました。
あらすじ
ウェイウェイはサーカス団を経営していた祖父の元で、素振りが得意なローランドゴリラ「リンリン」とともに暮らしていた。
だが、祖父は吉林省の大地震で亡くなり、ウェイウェイのもとには莫大な借金が残される。リンリンを売るよう借金取りから脅されたていたある日、ウェイウェイのもとに韓国プロ野球の敏腕エージェント・チュンソがスカウトに訪れる。
サーカス再建の野望のためウェイウェイはリンリンを連れて韓国へ旅立つのであった・・・。
「ホームから始まってホームに戻ってくる」
ウェイウェイは野球の何が好き?と言われてこう答えます。
これはすなわち彼女の行動原理であり、いずれは中国へ戻るという構造が示唆されています。
そして「韓国野球にはゴリラが野球をしてはいけないというルールはない」というまるで『野球狂の詩』のようなこのゴリ押しの1テーマをどのように最後まで持続して見せるか。
9回裏からと言われるように、現実の野球が十分ドラマチックである以上、その方向に映画も追随するとしたら負けないぐらい「劇的」にするのが必要です。サーカス再建のためにお金が必要な彼女と作中最強キャラクターのゴリラへ様々な障害が立ちふさがり、それを乗り越えていく。
劇的な9回裏の攻防
その最後の劇的な場面が、9回裏の攻防。
ゴリラVSゴリラです
さらっとネタバレしてますが、予告編でも流れてるので無問題。
ライバルであるマウンテンゴリラのレイティンはウェイウェイ達と同じくサーカスの一員でしたが激しい気性ゆえウェイウェイに愛想を尽かされてました。
それを恨みの糧として同じく負のオーラを持った借金取りの人たちが目をつけました。(悪には悪の道がある)
自分が手なずけることが出来なかったレイティンと借金取りが通じ合っているのを見てウェイウェイはショックを受けます。リンリンの活躍で有名になったウェイウェイはサーカス再建のための「お金」という目的しか考えなくなってました。リンリンの膝に大きな負担がかかっていることに気づかず。
日本野球界の「代理戦争」じゃあ!
そしてレイティンには、日本の中日ドラゴンズからスカウト(演じるのはオダギリジョー!!)が、リンリンには作中で「永遠のライバル」と形容される読売ジャイアンツのスカウトが、
絶対に負けるわけにはいかないと土下座をして獲得に乗り出します。
かくして、この二匹の闘いは日本野球会の代理戦争ともなりすべては9回裏の攻防に収束していきます。
しかし、リンリンの膝はついに限界をむかえ・・・。
劇的なクライマックスへ・・・
9回の攻防は燃えました。燃えました
観客一人だから
立ちましたよ
漫画『アオイホノオ』で主人公が「ロッキー」を見て声援を送ったような感じで。
もちろんストーリーの粗は探せばいくらでもあります。
(登場人物の行動原理が一定しなさすぎ、大人の都合が分かりづらい、はやく球場に行け、さっさと金送れ、ゴリラ攻略のために何かするとかもうちょっと人間頑張れ)
でも作ってるところは作ってある。何より
野球史上例を見ない最後の決着(予想不可能!!)は必見!
そして、そこからスタッフロール流れるまでのアクション活劇と上がる音楽(堪能!)、悪には悪の道があるんじゃあ!と言わんばかりの最高の終わりに思わず拍手しました。
配給会社のGAGAよありがとう
コケたかもしれないけど良い映画だった。コケたかもしれないけど
ギャガ (2016-02-02)
売り上げランキング: 27219
【関連記事】
関連記事
-
-
映画を丸裸にするラジオ「高橋ヨシキのシネマストリップ」が予想通りに面白い
(更新継続中の記事) 毎回(と言ってもまだ二回だけど)面白い20分間を朝から提供 …
-
-
~永遠なるものへの願い~映画『アウトサイダー』評
Nothing Gold Can Stay Robert Frost, 1874 …
-
-
映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』雑記(ネタバレあり)
グーグル広告の基準でいえば、アダルト系の文章はあまりおススメはしませんよ、とのこ …
-
-
ただ青き終わりに向かって、映画「ブルーリベンジ」(ネタバレあり)
「復讐は意味がない」という当たり前のことを見終わって久しぶりに考えた。この映画 …
-
-
最強の霊能力者出陣す!傑作ホラー『カルト』(監督:白石晃士)感想
見るのがもったいない映画というのがいくつか自分の頭の中でストックされており、それ …
-
-
映画『ポエトリーアグネスの詩』評(監督:イ・チャンドン)
(後半ネタバレあり) 詩と映画ということで作品を見続けているが、ここ最近で一番印 …
-
-
チベット映画『オールド・ドッグ』の感想と講演会のレポート(早稲田祭一日目)
11月1日は早稲田祭へ。 目的はサイトでも告知したチベット映画『オールドドッグ』 …
-
-
映画『コードネームU.N.C.L.E.』感想、どこから切っていってもガイ・リッチー
なんだかスパイ映画が多かった2015年の末尾に公開された『コードネームU.N.C …
-
-
魂の戦士を集めろ!映画「ホドロフスキーのDUNE」評
世の中には作品が人生に決定的な影響を与え、それに付きまとわれてしまう「カルト映画 …
-
-
政治的合理主義について、映画『リンカーン』を見て思うこと
映画の冒頭、監督のスピルバーグがこの映画の思想的背景を説明する。奴隷制をめぐりア …



![ミスターGO! [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51KfhzlfRPL._SL160_.jpg)