トレーダー分岐点

新刊本や新作映画、アニメの感想などを書き続けるサイト|トレーダー分岐点

*

ナチスのドラゴン使い!?しかし・・・映画『ドラゴン・オブ・ナチス』感想

      2015/11/27

s_ドラゴンオブナチス 画像

どうも、こんにちは。

翼に鉤十字が彫られたドラゴンが、あまり羽ばたかずに連合国飛行機に特攻してくる映画を観ました。

ナチスが第二次世界大戦中、秘密裏にドラゴン育成計画に成功し連合国パイロットに襲い掛かる映画『ドラゴン・オブ・ナチス』、DVD本体のデザインがハーケンクロイツに龍の鱗とめちゃくちゃ格好良いこの作品。

想像以上につまらなかったです。

よくあるじゃないですか「駄目な映画を楽しみたい」って欲求。

でも、駄目だからこそ楽しめる映画と本当に駄目な映画は全然違っていて、後者はサービス精神皆無でテンポも悪く映像も退屈、ツッコミを入れるのすら虚しくなってきて、しまいには「俺・・・何やってるんだろう」と人生が辛くなってきちゃう、この映画もその系譜。

あらすじとしては、北アフリカで・・・そう、ここがまた姑息で(笑)、ドイツじゃないんですよ北アフリカに侵攻したナチス・ドイツと連合国の戦いということで、映画の舞台は「砂漠」。お金がかからない!素晴らしい!画面が寂しい!

その砂漠でナチスが極秘裏に謎の卵を発見するという始まり(ここに至る経緯や背景の説明不足に「何故?」と問うてはいけない)

そして画面は戦車に乗った連合国側の視点にチェンジ。兵士は何か異常事態に気が付き、味方に助けを求めますが無慈悲な炎が画面右上からふわっと優しく戦車を燃やします。助けにきた空軍のパイロットたちも炎に焼かれ、彼らが最後に目にしたものは・・・

翼を大きく広げ(ぎこちなく)凶悪な顔の(よく見えない)ドラゴンだった!!(知ってた)

連合国側はドラゴン軍団に対抗するため、独自の空軍部隊を編成。酒好きでろくでもないが腕は確かなパイロットたちが次々と召集されます(彼らの一人は飛行機に乗ってきたにもかかわらず編集を間違えているせいで異空間から突如出現する)

それで、さあ、ここからドラゴン軍団との壮絶な戦闘になるのかと思いきや

なりません。

酒を飲んで喧嘩してまた酒を飲みます彼ら。

それに加えて始まる、厳しい任務の間に生まれる隊長と看護師の女性とのラブロマンス・・・が、あんまり映画でも実人生でも人の容姿にとやかく言いたくない私です。が、この映画唯一の女性担当が・・・あまりに、あまりに微妙で!

この女性の顔を見ていると、この人どういう気持ちでこの映画に出ているのだろう、いや、そもそも何故この映画を撮ろうと思ったのか、みんなどういう気持ちで・・・と心が悲しい気持ちでいっぱいに。

そんな悲しい気持ちを抱えつつ、画面では彼らが駐留している基地へドラゴンの奇襲攻撃が繰り広げられます!

ようやく肝心のドラゴンとのバトルシーンです。そして、

航空機の内部視点で戦闘は進み、暑苦しい男たちの苦悶の表象が交互に映されなんか叫んで死んでいきます。飛行機の映像とドラゴンの映像はあまり出ません。

( ¯•ω•¯ )

物語のラスト、このドラゴン計画を快く思ってないドイツのロンメル将軍と協力し、連合国側のドラゴンの卵掃討作戦が・・・そしてまた苦悶の兵士の表情で戦闘の半分は進みます。

( ¯•ω•¯ )

最後は、作戦が成功し生き残った隊長は看護師の女性と愛のキス。fin

( ¯•ω•¯ )

一目見て低予算と理解しつつ、ヒロインの化粧が昔風というこだわりにせつなさが際立つ映画『ドラゴン・オブ・ナチス』。だが一つだけ良いところがありました。それは大口を叩く主役級の人物が、そのキャラクター性の際立つ前にドラゴンの炎で焼き尽くされる展開。そこに戦争においては死んでしまえば皆同じという戦争の虚無感が作り手の意図を超え、はからずも漂っていました・・・。

【関連記事】

 - ボンクラ, 映画評 ,

スポンサーリンク
スポンサーリンク

  関連記事

映画「クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル」 感想

明日から、いよいよ「クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」が映画館 …

沈黙しない羊たちの暴走特急アニメ『ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』感想

この作品が「ヤバい作品」であることは前々からの調査で判明していたのだが、お金の不 …

映画『GONINサーガ』感想、そして瘴気はよみがえる

時代の瘴気を存分に吸い取った悪魔的な魅力を持つ映画『GONIN』、その19年後に …

世界の終わりとハードボイルド・ムーミントロール、劇場版アニメーション「ムーミン谷の彗星」感想

これはムーミンたちが、まだムーミン谷へ引っ越してきてすぐのお話。 2015年に公 …

デスノート項目
衝撃の全員馬鹿ノート!ネットフリックス版「デスノート」感想

2017年ネットフリックスオリジナルで、デスノートが配信された。 監督は『サプラ …

映画リンカーン
政治的合理主義について、映画『リンカーン』を見て思うこと

映画の冒頭、監督のスピルバーグがこの映画の思想的背景を説明する。奴隷制をめぐりア …

文化を支える矜持、フレデリック・ワイズマン新作『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』

この作品のことだけを考えていれば他の見なくてもしばらくやっていける。そう思わせて …

アレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』、ただ言葉を垂れ流し

だらだらと書く。ああ、つらい、疲労度高し。だいぶ前に新文芸坐のアレクセイ・ゲルマ …

映画『リスボン物語』評(監督:ヴィム・ヴェンダース)

In broad Daylight even the sounds shine. …

雑誌『POPEYE6月号』「僕の好きな映画」特集は時に面白く、たまにむかつく

男「ETってやっぱ面白いよね」 女「わかる。あたしなんてあのテーマ聞いただけでう …