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~学びの達人たちの事例集~フィルムアート社『じぶんの学びの見つけ方』評

      2015/12/02

zibun

この本の刊行記念トークショー(←詳細はこちらから見れます)にこの本を読まずに行ったので改めて手に取ることに。

フィルムアート社から出ているというのが面白い。最近注目している出版社がいくつかあってフィルムアート社はその中の一つ、他には亜紀書房とか大和書房とかも攻めてる感じ。


学びと勉強の違い

さて「学び」というタイトル。まずこれが「勉強」じゃないのが重要かと。

私がイメージする勉強という言葉には「何かのため」、なにかどこかに通い座って自分の時間を明け渡しているという感覚があります。それに対して学びの方は何となく小学校低学年の授業のように、外に出て縦横無人に様々なことを時間を気にせず摂取している、そんな柔らかさがあります。

自分自身の経験から言うと学びと勉強は相反するものではなく相互的なものです。強い確信です。強いられて好きになり、自分で離れていく。好きになったから強いられるためにどこかの学校へ通う。ここで両者を結ぶのは好奇心。面白いと思う気持ちです

しかし悲しいことに世間一般では役に立つ何かのための勉強が優勢で、学びという柔らかさは意識しないとすべて勉強の方に傾いていってしまう状況。

目標がある強制と言う名の勉強はある種の快感があり、逆に自分で道を探していく学びは困難が伴うからだとおもいますが、ただ、あらゆることに学びは内在しているからこそ、それに働きかけることにより物事の別の方面が見えていく面白さ、それは「何かのため」という息苦しさからの解放ともなります。

 

この本に書かれている「学び」の共通性

「大人になって出会う、勉強ではない”ほんとう”の学び」

こう帯に書かれているこの本は、方法や伝統に縛られず新たな道筋を切り開いていったそんな楽しく学んでいる人たちがたくさん載っています。

宇宙飛行士、卓球のコーチ、仏教僧、山伏修行、葬儀etc・・・。

登場する人物はバラバラですが、そこにはある種の共通点があります。それは見知った状況から異なる環境へ自らを置いたこと、そのことによって物事を自らの頭で考える経験をしたことを人生の転換点にあげている人が多いということです。

そこには新しく始めることを怖れず好奇心の赴くまま物事を見ていくアマチュア感覚の強さが見えます。

ただ若干残念なのが、そうした知と行の不可分性のため身体性に依拠する事例が多くなり
全体としてこの本には、死、伝統、食事、郷土、信仰などの宗教的な側面への傾向が強いことです。

 

学魔・高山宏の嫉妬とは

だからこそ、その中で独り高山宏のプロフィール「学魔」が異彩を放っています。(どこに行っても異彩を放っているというツッコミは置いといて)

*ちなみにこの本について高山宏は大学の中にいる人物として引き受けたこと。
この本を別の分野で活躍する人の無頼の書として読んだということをトークショーで言っていました。

「強烈な嫉妬からの学び」と題された文章には、「です、ます調」で語る高山宏に違和感こそあるものの『超人高山宏のつくり方』で語られているいつものお話とそこには言及されていない興味深い話も出てきて興奮しました。

ホッケ『迷宮としての世界』のほか、リシャール『詩と深さ』をともに携え学園紛争の場にいたことを、惨禍とともにあらわれるマニエリスムを論じた本を読みその後の人生が決定づけれたとまとめる話には何回聞いても衝撃を受けます。

そして、山口昌男『本の神話学』の嫉妬話をキーワードに、素晴らしいテキストを書いた著者に嫉妬し(テュゼ『宇宙と想像力』、エウヘニオドールス『バロック論』)
あるときには恋した相手をすべて愛するように、嫉妬を感じた書物すべての文章を丸写し(丸呑み)していったという狂気の過程が紹介されています。
塚本邦夫全歌集の丸写しの写真、ジョン・ダンの全詩全説教、コリーのパラドクシア・エピデミカ・・・。

結びに、面白さとは

さきほど高山宏が異彩を放っていると書きましたが、よく考えるとあらゆる分野を「面白い」の一言で繋げていく彼の作法はアマチュアリズムという頻出するキーワードと共にこの本にピッタリです。

だからこそ、こういうアカデミズムの分野で学びを実践しつつ頭のおかしい人たちに無理やりにでも話を聞いてほしかった。宮台真司言うところの勉強における感染と言うのは身体性という意味だけではないからです。頭のおかしい過剰で楽しい人の書いた文章は書斎で読んでいていも衝撃を受け、衝撃を受けることがあるからです。

他に「面白い!」と思った人たちの学びの事例。

・ルーカス・B,B.が手がけるファミリー向け野外フェスティバル「mammothpow-wow」

mammoth pow-wow | Mammoth School

 

 

・ラテンアメリカ文化研究者石橋純のビジネスから研究へと転身した経歴。

・島田純一郎が設立した一人出版社・夏葉社のお話

夏葉社

 

 

・建築家田根剛のエストニア国立博物館「memory field」をめぐる話。

DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS | NEWS

 

 

 

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